魂の28球 阪神 球児で5年ぶりCSファーストS突破

[ 2019年10月8日 05:30 ]

セCSファーストステージ第3戦   阪神2―1DeNA ( 2019年10月7日    横浜 )

<D・神>最後の打者を打ち取り、雄たけびをあげる藤川(撮影・大森 寛明)
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 セ・パ両リーグともに7日、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦が行われ、阪神はDeNAに勝って2勝1敗とし2014年以来、5年ぶりのファイナルステージ進出を決めた。1点を勝ち越した8回から救援した藤川球児投手(39)が守護神転向後、初となる回またぎで2回無失点。魂の28球で反撃を封じた。阪神は日本シリーズ進出をかけ、9日から巨人と戦う。

 にわかに勢いを強めた横浜の雨も、球児の炎を消すことはできない。魂の28球。悪条件の中、最後は前夜サヨナラ弾の乙坂のゴロを自らさばき、右手をグッと握りしめた。

 「シーズン中からずっとみんなでやってきたんでね。最後のバトンをもらって、ファンの人を東京ドームに連れて行くことができて良かったです」

 7月26日の巨人戦での守護神再転向後、初めて8回から登板。回またぎは「行くしかない。球児にはそれぐらいの信頼が間違いなくあるんで」という矢野監督からの絶大な信頼の証しだった。相手は代打梶谷から始まり上位へとつながる強力打線だったが、たった1点を守り抜いた。ポストシーズンでは球団最長となる2イニングを投げてのセーブ。CSファーストSでの2セーブは最多タイ記録となった。

 「最後に足場をならしている時でも、長い時間待っていただいて、ファンの人にも感謝したい。横浜で座席は少ないけど、たくさんの人が応援してくれたんでね」

 8回を三人で片付けると、9回に一気に雨脚が強くなった。先頭の筒香はこん身の真っすぐで空振り三振に仕留めたが、ロペスにはぬかるんだ足場に制球を乱し四球。ここでマウンドに土が入れられた。嫌な“間”ができても百戦錬磨の集中力は乱れない。宮崎を一飛、最後は大歓声で迎えられた代打乙坂をフォークで仕留めた。

 今季開幕から言い続けてきたのが「ファンの人を喜ばせたい」というフレーズ。守護神として一度は頂点を極め、大リーグも独立リーグも経験した右腕の最後に行き着いた大目標だ。もう、個人記録には興味はない。これまでの21年間、どんな時でも温かい声援を送ってくれた人たちに恩返しするためにマウンドに上がっている。

 「シーズンが終わると“寂しい、寂しい”という声もよく聞くんでね。少しでも長くできるように、頑張っていきたい」

 長年の戦友で「普段あまり会話しないけど、会話のいらない関係だと思っている」と話す鳥谷と共有する時間もまた伸びた。猛虎が誇る炎のストッパーが「奇跡の下克上ストーリー」を次の章へと進めた。
(山添 晴治)

 ○…藤川(神)が2回無失点で今CS2セーブ目。プレーオフ、CSファーストSでの2セーブは今季森(ソ)も含め8人目の最多タイ記録で、チーム初。ポストシーズンの阪神で2イニング以上を投げてのセーブは藤川が初めて。なお第1戦のセーブで15年CSファーストS第2戦福原忍(神=38歳9カ月)を上回る39歳2カ月のポストシーズン最年長記録。今回はこれを更新した。

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