京産大・杉野がリーグ戦通算100安打、野球生活最後のシーズンで到達「自信につながる」

[ 2019年10月8日 14:34 ]

関西六大学野球2019秋季リーグ戦 第6節第3日   京産大4―3神院大 ( 2019年10月8日    南港中央 )

<神院大・京産大>8回2死一塁、リーグ通算100安打となる左前打を放つ京産大・杉野(撮影・後藤 大輝)
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 京産大の杉野翔梧(4年=近江)が8日、神院大との第3戦に「3番・DH」でスタメン出場。5回無死一塁の第3打席で右前打を放つと、8回2死一塁の第5打席では左前に運び、史上13人目となるリーグ戦通算100安打を達成した。京産大は今季初の勝ち点獲得。神院大は全日程を終了し、1勝10敗の勝ち点0で最下位が確定した。

 「落ちろ」―。杉野の、ナインの願いが乗り移った打球は左翼手の前で弾んだ。偉業達成にベンチも大盛り上がり。「杉野さんにつなげ」を合言葉に、5打席も回してくれた監督やスタッフ、ナインの期待に応え、安どの表情を浮かべた。

 「1、2回生のときはああいうヒットが多かった。最後に自分らしさが出て良かった。ここで決めないと(99本止まりで)今週苦しみながら生活しなあかん、と(笑)意地でも打ってやろうと思いました」

 波瀾万丈の大学野球人生だった。1年時からレギュラーとして活躍し、安打を量産。前途洋々だったが、古傷の右肘を2年秋のリーグ戦中に手術した。痛みに耐えきれず、母・奈美さん(48)との電話の中で野球をやめる考えを明かしたこともあったが、手術に踏み切って続ける道を選択。3年春から利き手ではない左投げに転向し、寮で毎晩、左手の感覚を養うために箸で100粒の小豆をつかみ、字を書くのも食事をするのも左手に変えた。全ては悔いを残さずやり切るため。「やめたいと思ったらやめればいいし、続けたいと思ったら続ければいい。どっちになっても全面的にバックアップする」と、どんなときも優しく寄り添ってくれた母・奈美さんの言葉も支えになった。

 社会人では野球をプレーせず、一般企業に営業職で就職予定。「100安打できずに終わっていたら、一生後悔する。これから社会人として生きていく中で、自信につながる」と、達成感をにじませた。勝村法彦監督も「よく努力した。立派な数字です」とねぎらった。

 この日は父・重幸さん(50)、奈美さん、妹・公美さん(16)、祖母・辻あやさん(82)が家族総出で声援を送り、記念の一打を見届けた。苦楽を共にしてきた同級生の宮崎聡子マネジャー(4年=神戸星城)から「100安打」と書かれた記念球を手渡されニッコリ。「勝たないと勝ち点を取れなかったし、(100安打が)薄れてしまうので良かった」と試合後はそのボールを手に、照れくさそうに家族で記念写真に納まった。

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