工藤ソフト采配ズバリ 守備に不安のデスパ“勝負代打”で32年ぶりドロー開幕

[ 2018年10月28日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ第1戦   ソフトバンク2―2広島 ( 2018年10月27日    マツダ )

<広・ソ>延長12回の死闘も日本シリーズ初戦32年ぶりドロー。マウンドに集まるソフトバンクのナイン(撮影・篠原岳夫)
Photo By スポニチ

 SMBC日本シリーズが27日、マツダスタジアムで開幕し、ソフトバンクは延長12回の末、広島と引き分けた。5回2死二、三塁で代打・アルフレド・デスパイネ外野手(32)の二塁適時内野安打で失策を誘い、2点を挙げて同点に追いついた。15回だった延長は今季から12回に変更し、初戦で4時間38分の死闘。日本シリーズ初戦の引き分けは1986年の西武―広島以来32年ぶり3度目となった。

 引き分けても、勝利の儀式だった。工藤監督は、ベンチ前でナインとハイタッチしながら、ねぎらいの言葉を掛けた。

 「この引き分けは大きい。凄く評価している。明日につながる引き分け。今日はナイスゲームだった」。攻めの采配が延長12回のドローにつながった。DH制のない敵地。CSでは3発を放ったが、外野守備に不安のあるデスパイネを先発から外し、試合前には勝負どころで代打起用することを直接、伝えた。

 0―2の5回2死二、三塁で早くも切り札を使った。先発・千賀の打席で代打起用し、二塁適時内野安打と敵失で同点に追いついた。「あそこは勝負だと思った。よく打ってくれたし、よく走ってくれた」と指揮官。デスパイネも「大きな場面だったので点が入って良かった」と応えた。

 レギュラーシーズン終盤に武田と石川を救援に回した。CSでは8試合中、先発が5回を投げたのは3試合だけだった。エースを早期交代させても「第2先発」の2人が控えているからこそ、早い仕掛けが可能になる。5回からは武田、石川がともに2イニングを無失点。指揮官は「大きな舞台で持っているものを出せるのは、なかなかできることではない」と称え、武田も「任されたところをしっかり投げたい」と中盤を締める役目を果たした。

 シリーズ初戦の引き分けは、86年の西武―広島以来32年ぶり。工藤監督は当時、西武のユニホームを着ていた。延長14回の末、この日と同じ2―2の引き分け。第2戦から3連敗を喫したが、第5戦で自らサヨナラ打を放ち、流れが変わった。4連勝で日本一。第8戦でセーブを挙げるなど1勝2セーブでシリーズMVPに輝いた。「あの時とはイニングも違うからね」と比較しなかったが、同じ広島の地でのドロー発進は、自身にとっての「吉兆」でもあった。

 15年から指揮を執る工藤監督にとってシリーズは3度目の出場で、初戦を落としたことがない。完全アウェーのマツダスタジアムでベンチ入りの25人中23人を起用する執念の戦い。32年前よりも6分長い4時間38分の激闘に「よく追いついた」と選手の粘りに目を細めた。(川島 毅洋)

 《第1戦引き分けは32年ぶり3度目》日本シリーズ第1戦は延長12回引き分けで終わった。シリーズの引き分けは10年の第6戦中日2―2ロッテ(15回)以来8年ぶり8度目だ。第1戦に限ると86年広島2―2西武(14回)以来32年ぶり3度目。ソフトバンクの延長戦は昨年のDeNA第6戦に続き2試合連続。引き分けは南海時代の53年巨人第3戦で8回降雨コールド(2―2)になって以来65年ぶり2度目、延長では初めてとなった。

続きを表示

この記事のフォト

2018年10月28日のニュース