“大谷2世”注目の二刀流右腕・佐々木が強豪校入りを断った理由

[ 2018年7月12日 10:00 ]

盛岡三との岩手大会2回戦で力投する大船渡・佐々木朗(撮影・会津 智海)
Photo By スポニチ

 高校2年生ながら最速154キロを叩きだした二刀流右腕が岩手にいる。元祖二刀流・大谷翔平と同じく岩手県出身・大船渡高校2年生・佐々木朗希(ろうき)だ。身長1メートル89の大型右腕。試合前の整列ではほかの部員より頭ひとつ飛び抜けて大きかった。

 7月10日に岩手県営球場で行われた第100回全国高校野球選手権記念大会岩手大会2回戦の盛岡三戦に「1番・投手」で出場、右腕は初球からいきなり自己最速の153キロを2連発。1―0の2回には150キロ直球後に投じた127キロスライダーを5番・佐々木莉己に右翼席へ運ばれた。なんとこれが人生初の被本塁打。「悔しい」と感じた。

 3人兄弟の真ん中の佐々木朗は「常に3つ上の兄より上に立とうとしていた」と母・陽子さんが話すように、大の負けず嫌い。人生初被弾を打たれたことが起爆剤となった。次打者には「ギアを少し上げた」と152キロを2球投じた直後に自己最速となる154キロを2球連投。6、7回には右指がつりながらも「気持ちで投げました」と、8回には両足をつりながらも142球を力投し4安打2失点11三振を奪った。打っては6打数3安打とまさに二刀流の活躍。最後の打者を打ち取り試合が終了すると右手で小さくガッツポーズし静かに喜んだ。

 試合後自己最速についての感想を聞かれても、顔色一つ変えることなく「たまたまです。どれが154キロかわからない。スピードじゃない。チームが勝ててよかった」と自分のことはよりチームの勝利を喜んだ。謙虚な二刀流右腕は154キロという記録を出してもそれを喜ぶことなく、表情にもださなかった。投球について問われても「3年生の力を感じて投げることができた」と仲間に感謝が第一だった。

 高校進学時は多くの強豪校から誘いがあったが、「中学時代からのチームメートを甲子園に連れて行きたい。自分がいれば連れて行けるのかな。今のメンバーでいきたい」と中学のメンバーらと大船渡高に進学した。最後に語った「甲子園にいって、甲子園最速を出したい」という言葉に、謙虚な二刀流右腕の闘志が垣間見られた。(記者コラム・武本 万里絵)

続きを表示

2018年7月12日のニュース