阪神・陽川独白 覚醒の秘密は鈍感力 2年前の悪夢をバネに

[ 2018年7月12日 08:46 ]

阪神の陽川
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 7月に入って4番に座るなど前半戦を終えチーム3位の23打点の活躍を見せているプロ5年目の阪神・陽川尚将内野手(26)が11日、好調の要因や1軍の打席で感じる重圧など現在の心境をスポニチ本紙に独白した。

 出場23試合で打率・337、3本塁打、23打点。長打率は規定打席未到達とはいえ、4割台の糸井や福留らを大きく上回る6割超え(・602)を誇る。“鳴尾浜のゴジラ”の咆哮(ほうこう)を、誰が予想できたか。「自分でも想像していなかった」と首を横に振る陽川だが、打席での心構えが快音連発の要因となっている。

 「一つはタイミングを早く取ること。後は追い込まれたらコンパクトに振るんですが、当てにいくという意味じゃない。コンパクトな中でも自分のスイングをする。昨年までなら(球を)追っかけていたんですが、詰まっても良いんで、しっかり振ることを心がけてます」

 6月3日に今季初昇格を果たすと、7月1日のヤクルト戦では球団第100代の4番に座った。必然的に好機で巡ってくる打席。その背に受ける聖地の大声援は、力になる一方で重圧にも変わる。

 「あの歓声の中でやるのは、プレッシャーが本当にすごい。1試合終わった後の体のきつさも今までと全然違うんで。家に帰っても、すぐに疲れて寝てしまう感じ。でも、そこを乗り越えないと1軍でやっていけない。今は何も考えずに、それぐらいの気持ちです。プレッシャーを感じながらやると、おしつぶされそうなんで…」

 2年前の自分とは違う――。16年8月20日の巨人戦に「7番・三塁」で先発出場したが、初回1死一、二塁の守備で阿部の左中間への安打を処理した中谷の三塁送球を後逸し失点につながった。打席でも2打席連続の見逃し三振と、明らかにミスを引きずっていた。試合後に降格が決まり、わずか4日で2軍に戻った。

 「投手にも申し訳ないし、これからもずっと、あのエラーを忘れることはないですけど、引きずってはダメ。ミスしたらどうしようと考えていたら、足も動かない。あの試合の後は、そう考えるようになりました」

 昨年までプロ4年間の大半を2軍で過ごしてきた。だからこそ、鳴尾浜にはもう戻らない、と覚悟を決める。

 「2軍には、もう帰りたくない。今、結果は出てますけど、打てなくなる時期も絶対に来る。そこで粘って、調子の悪い時期をなるべく短くして、食らいついて、最後まで1軍でやりたいです」

 レギュラーシーズン残り69試合で真価が問われる。たくましくなった「心」で、立ちはだかる壁を突き破る。(遠藤 礼)

 ▽今季の陽川 開幕は2軍スタート。6月3日、不振の新外国人・ロサリオと入れ替わりで1軍初昇格すると、同日の西武戦(メットライフ)に「6番・一塁」で先発し2ランを含む2安打4打点。26日DeNA戦(横浜)ではチームの全4打点を叩き出し、連敗を5で止める活躍をみせ、6月は打率・358、3本塁打、20打点。7月1日のヤクルト戦(神宮)で、右足腓骨骨折の糸井に代わってチーム第100代4番打者に抜てきされた。

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2018年7月12日のニュース