済美・安楽 練習試合で96球完封 最速147キロ、最後の夏へ

[ 2014年7月6日 05:30 ]

<済美・鳴門渦潮>6球団のスカウトが視察する中、好投した済美・安楽

練習試合 済美2―0鳴戸渦潮

(7月5日 済美球技場)
 第96回全国高校野球選手権大会(8月9日開幕、甲子園)に向け、昨春センバツ準優勝投手で最速157キロ右腕、済美(愛媛)の安楽智大投手(3年)が完全復活をアピールした。昨秋に右肘の尺骨神経がまひし、半年近く投球ができない時期もあったが、5日の鳴門渦潮(徳島)との練習試合に先発。わずか96球で完封した。

 故障明けの剛腕が鮮やかによみがえった。今春四国大会準優勝、強打の鳴門渦潮相手に、安楽は被安打4の6奪三振。最後は、プロ注目の多田を、この日最速の147キロ直球で見逃し三振に仕留めた。阪神、西武など、国内6球団12人のスカウトが視察に訪れた中で宝刀スライダーに加え、新球のスプリットもさえまくった96球の完封ショーだった。

 「この冬は日本一苦しみ、日本一走った。追い続けた夢はかなえたい」

 並々ならぬ決意で最後の夏を迎える。昨春センバツ5試合で合計772球を投げ、準優勝の原動力となった。しかし、9月の秋季愛媛大会1回戦で右肘の靱帯(じんたい)を痛め、半年近くボールを投げられない長く暗いトンネルに入った。

 それでも「投げられず腐ったら、その程度の投手。苦しい状況で練習するからこそ本物」とストイックに自らを追い込み続けた。200メートルを50本走る陸上部顔負けのメニューで下半身をいじめた。筋力トレーニングではスクワットで200キロを上げるようになり、高校生離れした強じんな肉体に磨きをかけた。

 今年4月の練習試合でマウンドに立ち、5月には140キロ台後半をマークした。そして、この日147キロ。「腕の振りはMAXに戻っています。腕が振れていなかったらスピードも出ませんので」と復活へV字回復を口にした。

 試合後には今夏の愛媛大会に向けて、恒例の「演芸会」が開催され、安楽は母・ゆかりさんと「栄光の架橋」(ゆず)をデュエット。場を盛り上げた。そして、2枚の校旗に「世界一のピッチャー」、「みんなを甲子園につれていく」と決意を記した。「4番、主将、ピッチャーの三役を任されています。みんなを甲子園に連れていってこそエースですから」――。初戦は15日の三島戦。安楽の最後の夏が始まる。

 ▼阪神・中村勝広GM 魅力あふれる投手。V字回復だな。大型投手というのはなかなか出てこないもの。パワーピッチャー、俺好きなんだな。もう一回見てみたい。

 ▼ソフトバンク・永山勝アマスカウトチーフ 打者に向かっていく闘争心が素晴らしい投手。

 ◆安楽 智大(あんらく・ともひろ)1996年(平8)11月4日、愛媛県松山市生まれの17歳。高知市立高須小2年から「高須ザイオン」で野球を始め、投手。小3時に道後小に転校。道後中では「松山クラブボーイズ」に所属。済美では1年からベンチ入りし、昨春センバツで準優勝。昨年選出された高校日本代表では18Uワールドカップ(台湾)では3試合18イニング無失点で準優勝に貢献。50メートル走6秒5、遠投110メートル。最速157キロ。1メートル88、85キロ。右投げ左打ち。

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