女子野球仙台チャリティーマッチ 岩手出身の佐藤が躍動

[ 2012年8月3日 10:45 ]

2回無死一、二塁から中前打を放った佐藤千尋(兵庫)

日本女子プロ野球オールスター 東軍6-1西軍

(8月2日 仙台市民球場)
 日本女子プロ野球リーグは2日、仙台市民球場(元気フィールド仙台)でオールスター仙台チャリティーマッチを行い、東軍が6-1で西軍を下した。初回、東軍は連続四球を選び、暴投などで無死二、三塁の好機を作ると4番川端友紀(京都)の中犠飛で先制。続く川保麻弥(兵庫)の右前適時打で2点差に広げた。2回にも満塁から押し出しで3点目。なおも1点を加えた4回には1死一、三塁、5番小久保志乃(大阪)の特大の左越え適時二塁打でダメを押した。投げても東軍投手陣は、先発荒井蛍(京都)の2回無失点を始め、4投手が1失点リレーで西軍を抑え込んだ。西軍は5回に5番岩谷美里(兵庫)の右越え三塁打などで1点を返したが、あと一本が出なかった。京都のエース宮原臣佳も3失点するなど、投手陣が乱調だった。

 地元東北の復興に願いを込めて。仙台での東日本大震災復興オールスター戦で、東軍の岩手県出身の佐藤千尋(兵庫)が華麗な安打で魅了した。

 2点リードした2回無死一、二塁。普段は同僚である西軍の先発大田秀奈美(兵庫)の直球を思い切り叩くと、痛烈な打球は投手の足元を抜け中前へ。満塁にチャンスを広げ、勝利を確実にする後続の押し出しを呼び込んだ。

 1年ぶりとなる仙台での試合には、特別な思いがあった。2011年3月11日。北海道で大学野球部に所属していた佐藤に直接的な被害はなかったものの、故郷の岩手は大きな痛手を受けた。

 「実家とは連絡がつかない時期もありました。内陸なので津波の被害はありませんでしたが、海岸沿いで被害に遭われた方たちにとっては何年経っても消えない悲しみ。私も同じ気持ちです」。

 女子プロ野球入りした今も当時のことは忘れられない。「スポーツは明るいニュースを届けられる」という信念を胸に日々練習に励み、関西圏での試合に全力を尽くす。仙台での東北遠征を心待ちにし、自ら街頭で試合の告知を行うなど、精力的に動き回った。

 試合後にはヒーローインタビューも受けた。駆けつけてくれた両親に「一生懸命、私は関西で頑張っているので、今日はいい姿を見せることが出来て良かった」とメッセージを送った。球場からは大きな歓声を浴びるなど、佐藤の想いは仙台市民にしっかりと届いた。自分自身にとっても8月25日からの後期シーズンでは、兵庫3連覇という大きな目が待つ。その壁を乗り越え、また一つ東北に吉報を届けたい。

 ▼川保麻弥(兵庫)3チーム混合でそれぞれいいところが出て、去年と違ったレベルアップした姿を見せられたと思います。最初は川端友紀選手が犠牲フライを打ってくれて気持ちが楽になりましたし、東軍の雰囲気もすごく良かったので乗せられて追加点を挙げられました。大田とは同じチームなので、真っ直ぐで来るだろうなと思ってましたけど、同じチームの投手から打てたのは倍うれしいです。前期は一回も捕手で出れませんでしたが、みなさんに見せることが出来てうれしいですね。

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