避難生活中に初めての“高校野球” 即席自主トレに感激

[ 2011年3月26日 11:32 ]

公式戦での対戦を誓う佐藤和信くん(左)と福島北高・今野優磨

 福島第1原発の放射性物質の影響で、大熊町から福島市の福島北高に避難してきた佐藤和信くん(15)が25日、高校球児の第一歩を踏み出した。佐藤くんは今春、双葉翔陽高に合格し、野球部に入部する予定。それを知った福島北の部員が誘い“合同自主トレ”が実現した。

 白球を握った瞬間、思わず笑みがこぼれた。キャッチボール、ティー打撃、軽めのメニューだったが、避難所生活を送って佐藤くんにとっては待ちに待った瞬間。あこがれの“高校野球”の練習だ。「すがすがしいというか何というか、とにかくうれしいです」と生き生きとした表情で福島北ナインとともに自主トレに汗を流した。

 自宅は福島第1原発から5キロほどの位置。政府の避難指示を受けて、約60キロ離れた福島北高体育館に避難してきた。そこで、ボランティアとして支援物資の運搬や食事の世話をしていた野球部員の今野優磨(2年)から「髪短いけど、野球やってるの」と声をかけられたのがきっかけだった。

 相双シニアではエースとして東北大会に出場、双葉翔陽高校(双葉町)に合格して4月から野球部に入るつもりだった。その矢先の震災で、野球道具も自宅に置いたままで避難。その境遇を聞いた今野は、自分のトレーニングウエアと予備のグラブを自宅から持ってきて佐藤くんに「一緒に自主トレしよう」と渡し、関根和憲主将(3年)も「サポートできてよかった」と話した。88年のセンバツに同校の二塁手として出場した今野の父・広樹さん(40)も「力になってやりなさい」と今野を後押ししたという。

 双葉翔陽高は避難指示圏内で、服部芳裕監督(51)も現在、家族4人で郡山市の安積高体育館に避難中。ナインも離れ離れの状態だが、指揮官は「3年生のためにも夏は出たい。頼もしい新1年生がいてくれてうれしい」と話す。今野と公式戦での対戦を誓い合った佐藤くんは「甲子園に行きたい。そのためにここでしっかりと自主トレします」ときっぱりと言い切った。

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