日大三劇勝!鈴木、前歯2本折れてもド根性逆転打

[ 2011年3月26日 06:00 ]

<日大三・明徳義塾>逆転勝利に貢献し、歯が折れたまま笑顔を見せる鈴木

第83回選抜高校野球大会第3日 日大三6―5明徳義塾

(3月25日 甲子園)
 二塁塁上でガッツポーズした日大三・鈴木の顔はゆがんでいた。4―5の8回1死一、二塁。直前の守備で送球を顔面に受けたため唇は赤く腫れ上がり、前歯2本は抜け落ちていた。それでも、外寄りのカーブを思い切り振り抜き逆転の左中間二塁打。試合後は、逆転勝利の喜びをかみしめる暇もなく、兵庫県西宮市内の病院に直行した。

 「交代する気は全くなかった。絶対に負けられないという気持ちで打席に入った。ケガの痛みも感じていなかった。(エースの)吉永が苦しんでいたので、打てて、ただうれしかった」

 チームは昨秋の明治神宮大会で優勝。今大会も優勝候補筆頭に挙げられていた。しかし、中盤に一時は3点をリードされる。劣勢の流れを変えたのが、8回の鈴木のプレーだった。無死一、三塁のピンチで二ゴロを捕球した菅沼の本塁への送球がハーフバウンドとなり、顔面に受けた。口から血が滴り落ちる。それでも、応急処置を施すと、志願の強行出場。送球ミスに動揺していた菅沼には「びびんなよ。今度も思い切って放ってこい」と言葉を掛けた。

 震災に苦しむ親友のためにも負けるわけにはいかなかった。被災地から出場の東北(宮城)のエースの上村主将とは中学時代、海老名シニア(神奈川)でバッテリーを組んだ仲。中3夏の全国大会では8強入りも果たし、昨年12月のOB戦で再会した際には「(来年の春は)決勝で対戦しよう」と誓い合った。一塁側スタンドで観戦した鈴木の父・弘明さん(53)は「甲子園に来る前に上村くんのお母さんと会ったとき“5日間息子と連絡が取れなかった”と話していました。対戦が実現できればいいですね」と思いをはせた。

 病院では抜けた前歯2本をワイヤで固定し、裂傷を負った下唇を4針縫った。上唇は打撲と診断された。それでも、2回戦の出場にも強い意欲を燃やした。小倉監督も「気持ちが強い、しっかりした子。あの一打で勝たせてもらった」と賛辞を惜しまなかった。

 この日の気迫あふれるプレーは、必ず親友にも伝わる。大会6日目(28日)に登場する東北の上村主将に、鈴木の姿は最高のエールとなった。

 ▼鈴木 貴弘(すずき・たかひろ)1993年(平5)6月29日、神奈川県生まれの17歳。渕一少年野球部で小1から野球を始める。海老名シニアでは主に4番を務め、2年連続で全国大会8強入り。昨春のセンバツでは背番号12で出場し、準優勝に貢献。50メートル6秒7、遠投100メートル。1メートル72、75キロ。右投げ右打ち。

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