【内田雅也の追球】スランプ脱出は「よく食べ、よく眠る」 さて、重症の阪神・ノイジーは

[ 2023年6月7日 08:00 ]

交流戦   阪神1-4楽天 ( 2023年6月6日    楽天モバイル )

<楽・神>9回、代打を告げる岡田監督(撮影・岸 良祐)
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 敗戦後、阪神のあるフロントマンが小さな声で「やっぱり、みんな疲れていたと思うよ」とつぶやいた。

 前日は甲子園で5時間7分の今季両リーグ最長試合を戦い、引き分けた。試合終了は深夜11時を回り、シャワーを浴び、着替えて帰宅すると日付が変わっていただろう。明けてこの日は朝、伊丹から空路仙台に入った。球場入りは通常より1時間ほど遅い午後4時。打撃練習は行わずに疲労回復に努めて臨んだ。

 楽天先発・則本昂大から、初回に中野拓夢、大山悠輔の長短打で先制したが、結局は「スミ1」の貧攻。2回以降は散発4安打だった。

 やはり、疲れが残っていたのだろう。もちろん、プロはそんな言い訳を口にしたり、弱みを見せたりしないものだ。

 打撃の不調について、落合博満が<根本的な原因は食事や睡眠のような基本的なことにあるのに、それ以外のところから原因を探してしまうからだ。そして、精神的なスランプと闘う状態がストレスにつながる>と書いている。現役引退後、中日監督に就く前、2001年に出した著書『コーチング――言葉と信念の魔術』(ダイヤモンド社)にある。

 平たく言えば、単なる疲労による打撃不振を思い悩むな、と主張しているわけである。ならば、猛虎たちがいま、努めるべきは、よく食べ、よく眠ることではないか。栄養と睡眠を十分とり、体調を整えたい。

 幸い、この夜は村上頌樹が完投し、救援陣は休むことができた。2時間38分の短時間試合だったのも幸いと思いたい。

 落合はこうも書いていた。<スランプにも二通りある。技術的なものと精神的なものだ。技術的なスランプは原因を見つけて改善すれば早く脱出することができる。だが、精神的なスランプからはなかなか抜け出すことができない>。精神的なスランプに陥る前に、疲労回復に努めろという。

 その点で不調が長びく3番打者、シェルドン・ノイジーはすでに重症のスランプ状態にあると言える。交流戦に入って7試合で28打数2安打、打率・071。悪球(ボール球)打ちが目立ち、監督・岡田彰布は「なんべん言うてもあかん」と、先発メンバーから外すことを考えている。

 リフレッシュし、新オーダーでの再スタートとなる。 =敬称略=
 (編集委員)

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