今年のMLBは下剋上 サラリー総額差が広がるも低予算チームが100勝ペース、金満チームが負け越し

[ 2023年6月7日 13:33 ]

今季、波に乗れないメッツ(ロイター)

 新労使協定のもと、昨オフは巨額の長期契約が次々に結ばれ、サラリー総額で上位のチームと下位のチームの格差が拡大した。

 22年は1位のドジャースと30位のオリオールズの差は2億2600万ドルでそれまでで最大だったが、23年はさらに広がりメッツとアスレチックスの差は2億9900万ドル(約416億円)。この2球団だけではない。4位のフィリーズの2億4430万ドルと、27位のレイズの7691万ドルの差も1億6739万ドル(約233億円)だ。

 MLBにとって避けたいのは極端に強いチームと極端に弱いチームが増えてしまうこと。接戦が減るということだ。22年は100勝チームが4チームと多く、それまでのタイ記録で、さらに99勝チームが一つあった。一方で100敗チームも4つで記録、97敗チームも一つあった。100勝チームのサラリー総額は平均で2億2600万ドル、一方100敗チームは平均で8700万ドル弱だった。今年も同じことになれば由々しき事態だった。しかしながら逆のことが起きている。

 一番お金を使っている4球団のうち、メッツ、フィリーズ、パドレスの3球団が負け越しており、今日でシーズンが終わりならポストシーズンに進めない。下の4球団のうちレイズは44勝19敗でMLBで最高の成績だし、オリオールズ、パイレーツも含め3球団がポストシーズンに出られる。昨季の地区優勝チームで今年もここまで1位なのはナ・リーグ東地区のブレーブスだけ。他にもサラリー総額21位のダイヤモンドバックスが貯金11個でナ・リーグ西地区の首位、22位のマーリンズもブレーブスを追いかけ貯金6個の地区2位。20位のブルワーズが貯金5個でナ・リーグ中地区の首位である。100勝ペースのチームは3球団あるが、うち2つはレイズとオリオールズだ。100敗ペースはロイヤルズとアスレチックスの2チーム。この2チームはお金がないのではなく、再建のプロセスに入っており、勝ちに行かず、戦略的にお金を使っていないからとてつもなく弱い。

 こういうチームが昨季のように4、5球団もあればMLBにとって良くないが、今年は2球団だけ。仕方がないとすべきだろう。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年6月7日のニュース