光が輝いた!甲子園初勝利 升田“マダックス”99球完封で導く「思った以上のパフォーマンスが出た」

[ 2023年3月23日 05:20 ]

第95回選抜高校野球大会第5日・2回戦   光2―0彦根総合 ( 2023年3月22日    甲子園 )

<彦根総合・光>9回、光・升田は彦根総合・藤田を三ゴロに抑えガッツポーズ(撮影・後藤 大輝) 
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 2回戦3試合が行われ、光(山口)は升田早人投手(3年)が3安打11奪三振で彦根総合(滋賀)を完封し、春夏通算3度目の甲子園で初勝利を挙げた。

 澄み渡った青空が広がる甲子園に、光の校歌が初めて流れた。93、94年の夏はいずれも初戦敗退。三度目の正直で彦根総合との初出場対決を制した立役者は、紛れもなくエース兼主将の升田だった。

 「甲子園は投げやすく、自分の思った以上のパフォーマンスが出たと思います」

 初回はストレートで押しまくった。投じた12球のうち、10球はストレート。2番・田代奏仁の打席では自己最速を2キロ更新する143キロを、2球投げ込んだ。「真っすぐで押せた方が流れもきやすいと思った。初回は絶対に打たせないという強い気持ちだった」。狙い通りに2三振を含む3者凡退に仕留めると、その後も直球主体の投球で3安打11奪三振。99球で「マダックス」を達成した。

 好投の源は変化を恐れない向上心だ。昨秋は公式戦9試合のうち8試合で完投。中国大会準Vに貢献したが、15年から投手コーチを務める田上昌徳氏のもと、11月下旬からフォーム変更に着手した。「球のスピード、勢いを出すためには、体重を乗せやすい」という助言を受け、セットポジションからノーワインドアップに変えた。

 甲子園を熟知する田上氏からは精神論も学んだ。宇部商の左腕エースとして、85年夏は決勝に進出。桑田、清原のKKコンビを擁するPL学園には敗れたが「1球目を投げる前までは不安でいい。1球目を投げてからは開き直って、どんどんいけ」と必勝法を伝えられ、実行した。

 地元の出身者ばかりで構成される県立高にとって大きな1勝。「次も目の前の1勝をもぎ取る気持ちでいきたい」と升田。大黒柱はまだまだ光り続ける。(杉浦 友樹)

 ▼光福原将斗捕手(2年) (父は93年の甲子園に光の中堅手で出場)家族から「楽しんで」とLINEが来たので、楽しんでプレーできた。(升田さんは)球速以上にストレートの回転数や伸びを感じて空振りも取れていた。

 ○…甲子園大会で漢字一文字の学校が勝利するのは74年春、90年夏の境(鳥取)、04年春、22年夏の社(兵庫)、17年春の呉(広島)に次いで光が4校目となった。

 ▽マダックス 大リーグで100球未満での完封を意味する。86~08年にブレーブスなどで活躍したグレグ・マダックスは、通算35完封のうち13度を100球未満で達成。抜群の制球力は「精密機械」と呼ばれ、通算355勝を挙げた。14年殿堂入り。

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2023年3月23日のニュース