侍・大谷 MVP!まるでドラマ9回トラウトK締め「本当にうれしい」世界一 3年後も「出たい」

[ 2023年3月23日 04:50 ]

WBC決勝   日本3-2米国 ( 2023年3月21日    マイアミ )

<米国・日本>優勝し歓喜の大谷(中央ら)侍ジャパンナイン(撮影・会津 智海)
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 世界一の胴上げ投手だ。侍ジャパンは21日(日本時間22日)、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝で前回覇者の米国を3―2で下し、09年の第2回大会以来、14年ぶり3度目の優勝を果たした。大谷翔平投手(28)が最後を締め、MVPを獲得。ベストナインにも指名打者(DH)と投手の2部門で選出された。侍ジャパン初の全勝優勝に導いた二刀流は、3年後に開催される第6回大会に出場する意向を示した。メジャー組を除くチームは23日に日本に凱旋する。

 声にならない叫びがあふれた。大谷は両手を広げ、グラブ、帽子をグラウンドにぶん投げた。歓喜の輪にのみ込まれ、何度も跳びはね喜びを爆発させた。

 その後は何度も目の周りを拭い「汗ですね」と笑ったが「小さい頃からずっと夢見てきた大会だし、本当にうれしい。間違いなく今までの中でベストの瞬間だと思う」。09年以来、14年ぶりの頂点。06、09年の松坂大輔以来、日本人2人目のMVPにも輝いた。栗山監督、ダルビッシュの次に胴上げに指名され、3度、宙を舞った。

 漫画を超えた結末だった。ダルビッシュからの継投で登板すると、先頭のマクニールに四球を与えたが、ベッツを二ゴロ併殺。世界一まであと1人の2死、エンゼルスの同僚でMVP3度の現役最強打者トラウトを迎えた。

 試合前にはともに国旗を両手に持ち、両軍旗手として入場した。「トラウトとは最後できないかなと思ったら併殺になって、最高の形で迎えられた」。カウント2―2からボールになったが、この日最速の101・6マイル(約163・4キロ)を計測。最後は驚異の曲がり幅17インチ(約43センチ)のスライダーで空振り三振。魂の15球だった。

 日本ハム時代の16年CSファイナルS、ソフトバンク戦以来の救援登板。「一度、経験しているので大きかった」。5回から左翼後方のブルペンと計3往復して整えた。野手でプレーしており、ズボンを土で汚したクローザーが、世界一へのマウンドに上がった。

 決戦直前、ナインの目を覚ましたのも大谷の言葉だった。クラブハウスで「声出し」を初めて任された。「憧れるのをやめましょう。トラウトがいて、ベッツがいたり。誰しもが聞いた選手がいるが、僕らはトップになるために来た。今日一日だけは彼らへの憧れは捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」。06年大会、同じ米国戦前にイチローが浮足立つナインを集め「1打席目に本塁打を打つから期待してほしい」と宣言。初回に有言実行の先頭打者弾を放ち、勇気を与えた。先制されてもはね返した力強さは、大谷の言葉から生まれた。そして自ら脳裏に深く刻まれている09年大会のダルビッシュのようなスライダーで最後を決めた。9日の開幕・中国戦に先発でチームの1球目を投げ、最後の一球も投げ込んでみせた。

 次回大会は3年後の26年。「出たい。もっと素晴らしい選手になれるように頑張っていきたい」と連覇を目指すことを宣言した。ダルビッシュにも「3年後も…」と誘った。

 駆け抜けた夢の向こう側で、伝説の幕は下りた。22日(日本時間23日)には空路、キャンプ地のアリゾナ州テンピに飛ぶ。「ポストシーズン、ワールドシリーズで勝っていくことが次のステップ」。世界一の野球選手へ。二刀流の夢はまだまだ終わらない。(柳原 直之)

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2023年3月23日のニュース