広島・福地新2軍コーチ「みんなが盗塁したいと思うように」ヤクルト流走塁改革で機動力野球取り戻す

[ 2022年10月29日 05:00 ]

コーチ就任会見に臨む福地氏(撮影・河合 洋介)
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 来季から広島の2軍打撃兼走塁コーチを務める球団OBの福地寿樹氏(46)が28日、マツダスタジアムで就任会見に臨んだ。今季の盗塁数は1、2軍ともにリーグワーストで、機動力野球の復活につながる若手育成が期待されている。コーチとしては、ヤクルトで13年から昨季まで9年間指導し、チームに高い走塁意識を浸透させた。古巣でも積極的な走塁姿勢をナインに植え付けて、走塁改革に取り組む決意を示した。

 05年以来の古巣復帰は、新井監督の就任がきっかけとなった。現役時代に同僚だった新監督から電話で「若手の育成とチームの底上げのために力を貸してください」と就任要請を受け、「カープに恩返しをしたいと思っていた」と同日中に快諾した。

 同氏はヤクルト在籍時に盗塁王を2度獲得した。その土台は、プロ入りから12年間過ごした広島で築いた。しかし球団の伝統として継承されてきた機動力野球は今、陰りを見せている。今季は球団ワースト26盗塁。新井監督も走塁面の向上を掲げており、まずは2軍から、走れる選手の育成に励む。

 「先輩方が築き上げてきた伝統の機動力は、これから先も引き継がれていくものだと僕は思っている。盗塁は数だけではないが、どうしてスタートを切れなかったのか…など、いろんな原因を追究して整理していきたい」

 意識を変えることを走塁改革の一歩目とする。例に挙げたのはヤクルト時代に指導し、4番を担いながら3年連続2桁盗塁をマークする村上だ。「村上は最初の頃から走りたい、練習してみたいという意識が高く、貪欲だった」。リーグ連覇したヤクルトには、走力の有無に関係なく高い走塁意識が浸透。広島でも、俊足だけでなくナイン全員に積極走塁を求める。

 今季は2軍もウエスタン・リーグでワーストの47盗塁だった。リーグトップだった19年の127盗塁から、わずか3年で大幅減。失敗が許される2軍戦ですら積極性を欠いたことが、1軍の盗塁数減少へとつながった。

 「盗塁をしたいと、みんなが思うようなところに持っていかないと。球団からも何とかしたいという熱意が伝わってきたので、重点的にやっていきたいと思います」

 広島で走力を磨いて西武、ヤクルトと渡り歩き、コーチでヤクルト再建に貢献。豊富な経験を古巣に還元し、走り回るカープ野球の土台を築き上げる。 (河合 洋介)

 【福地コーチに聞く】――古巣に復帰する現在の心境は。
 「本当に新鮮な気持ちです。久しぶりの赤いユニホームなので、ワクワクしています」

 ――指導していたヤクルトの若手には勢いがある一方で、広島は若手の台頭に乏しい。
 「ヤクルトでは最下位を経て、そこから若手が出てくるということを経験した。若い子、本当にどのような選手が出てくるか分からないですけど、今いる選手は当然戦力なので頑張ってほしいです」

 ――走力のある選手の盗塁数を伸ばすのか、足の速くない選手を向上させるのか。
 「両方ですね。走れる選手は、人が追いつけないくらい、どんどんいってほしい。(走力が)中間くらいから走れない選手でもスタートは良い方がいい。質の高さを求めたい」

 ≪異例の兼務も打撃指導に重点≫福地コーチの担当は「2軍打撃兼走塁」に決まった。走塁担当が打撃指導を兼務する異例の形に鈴木清明球団本部長は「打撃の指導に重点を置いてほしい。左打者(両打ち)だったということもある」と説明した。左打者だった森笠2軍打撃コーチは今季限りでの退団が決まっており、若手の多くを占める左打者の育成を期待される。ヤクルトでの指導者経験について、同本部長は「高津監督と一緒に、今のヤクルトの下地をつくった経験がある」と期待を寄せた。

 ◇福地 寿樹(ふくち・かずき)1975年(昭50)12月17日生まれ、佐賀県出身の46歳。杵島商では甲子園出場なし。93年ドラフト4位で広島入団。95~98年にウエスタン・リーグ盗塁王。06年3月に交換トレードで西武入り。07年オフ、FA移籍した石井一久の人的補償でヤクルト入りし08、09年に盗塁王。12年引退。通算1009試合で打率・272、20本塁打、184打点、251盗塁。13年から21年はヤクルトでコーチを務めた。右投げ両打ち。

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