東尾修氏が占う歴史的熱戦の日本S オリックスの盛り返す展開 86年第8戦シリーズと似ている

[ 2022年10月29日 05:20 ]

27日の日本シリーズ第5戦の9回、吉田正のサヨナラ2ランにベンチを飛び出すオリックスナイン
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 2勝2敗1分けのタイで盛り上がりを見せている日本シリーズ。29日からはヤクルトの本拠・神宮に舞台を移す。同じ顔合わせだった昨年から、11試合で10試合が2点差以内と実力が拮抗(きっこう)。西武―広島が戦った86年以来36年ぶり、史上2度目の第8戦突入の可能性も出てきた。当時、エースだった本紙評論家の東尾修氏(72)が「第8戦シリーズ」を振り返り、今後のシリーズの行方を語った。

 当時の日本シリーズは全試合がデーゲーム。今でも記憶は鮮明だ。86年10月18日の第1戦。先発した私は8回まで広島打線を5安打無失点に抑えていた。しかし2―0の9回、1死から小早川と(山本)浩二に連続本塁打を浴びて同点。結局、延長14回で引き分けに終わるのだが、この「1分け」が日本シリーズ初、そして唯一の第8戦につながった。

 あの年は(工藤)公康、(渡辺)久信といった若い投手が頑張った。1分け後は3連敗。「まずいな…」という雰囲気も漂った。そんな中で第5戦の延長12回、2番手登板の工藤が守護神・津田からサヨナラ打。「いける」――。流れが変わったのを肌で感じた。

 今回のオリックスも3試合目まで2敗1分け。しかし本拠地での4、5戦目に連勝と、追い詰められた状況から盛り返したのは西武と似ている。一丸ムードも漂う。第5戦で吉田正がサヨナラ本塁打。86年は第8戦で秋山が6回に同点2ランを放ちバック宙でホームインした。同じような盛り上がりを感じる。

 その第8戦は私が先発した。肉体的、精神的疲労など感じない。高いテンションのままマウンドに上がった。それこそが日本シリーズ。オリックスは絶対エース・山本が登板できない。一方でヤクルトにも昨年日本一の意地がある。大いに盛り上がったまま終幕を迎えてほしいと思う。(スポニチ本紙評論家)

 ≪実力伯仲…今季第3戦以外2点差以内決着≫今季の日本シリーズは第3戦を除き4試合が2点差以内となっている。同じ顔合わせだった昨年も、6試合全てが2点差以内と接戦の連続だったが、今季も同様の傾向が出ている。ちなみにこれまでの日本シリーズで唯一第8戦までもつれ込んだ86年の西武―広島戦も接戦の連続。3点差以上は第3戦の1試合のみで、初戦の引き分けを含め7試合が2点差以内だった。

 ▽日本シリーズ要項(抜粋)
 (1)試合方式 7試合制。どちらか一方のチームが4勝した時点で終了。サスペンデッド・ゲームは行わない。
 (2)延長 第7戦までは延長12回で打ち切りとし、第8戦以降は延長回の制限を設けない。
 (4)第8、9戦 引き分け試合があったことで第7戦でも優勝が決定しない場合、翌日に神宮で第8戦。さらに第9戦が必要な場合には1日移動日を設け、オリックスのホームで行う。

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