パドレス・ダル 7回1失点でWCS第1戦で白星!右足親指付近の出血乗り越えた

[ 2022年10月9日 02:30 ]

ナ・リーグWCS第1戦   パドレス7―1メッツ ( 2022年10月7日    ニューヨーク )

7回1失点でチームに勝利をもたらしたパドレス・ダルビッシュ(AP)
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 大リーグは7日(日本時間8日)、ポストシーズン(PS)が開幕してワイルドカードシリーズ(WCS=3回戦制)第1戦の4試合が行われ、ナ・リーグはパドレスのダルビッシュ有投手(36)がメッツ戦で7回6安打1失点と好投し、勝利投手となった。右足親指付近を出血するアクシデントを乗り越え、PSでは17年10月17日以来、自身1816日ぶりの白星。先勝で地区シリーズ進出に王手をかけた。

 痛みは限界に近づいていた。7―1の7回1死。ダルビッシュはエスコバルに対し、5球目にストライクを取った直後に右足を不自然に上げるしぐさを見せた。直後に二塁打を浴び、トレーナーや捕手が心配そうな表情でマウンドに集まった。

 「2回くらいから我慢している状況だった。最後の方は完全に血が出ていた。痛みと闘っている状況だった」

 プレートを蹴る軸足の右足親指の内側がマウンドの土に何度もこすれて、マメができて出血。靴下にも血がにじんだ。「マウンドが凄く硬かった。親指のところがえぐれている感じ」。残る力で後続の2人は打ち取り、ポストシーズン(PS)自身最長の7回を6安打1失点。04年のポストシーズンで右足首じん帯を断裂しながら、血染めのストッキングで投げ抜いた通算216勝右腕カート・シリング(レッドソックス)と重なる熱投だった。

 米1年目のレンジャーズ時代の12年以来10年ぶりだったPS開幕投手。ドジャース時代の17年ワールドシリーズ第3戦から続いたPS登板の連敗は3で止めた。「昔のことは忘れた」と一蹴したが、ここ数年は瞑想(めいそう)や相手打線のデータ分析に注力。「(17年と比較し)メンタルや試合の準備は全然、別の(高い)レベル」と胸を張った。

 ただ、この日は少し違った。「起きて最初は呼吸も浅かった。緊張気味かと思った」。食欲は湧かず登板前の食事は「小さいうどん1杯とバナナ」のみ。背中を押したのは家族の存在だった。「試合前に、妻(聖子夫人)と2人でやってきたことを見せるだけだと思ったことで落ち着いた」と感謝を口にした。

 通算201勝の難敵シャーザーに投げ勝って王手。「この年齢、この舞台で、殿堂入りするであろう投手と投げ合えることは、緊張している場合じゃなく、とにかく誇りに思っていた」。ワイルドカードシリーズから自身初の頂点へ。血染めの熱投から伝説をつくる。(柳原 直之)

 《メッツもお手上げ》
 ▼バック・ショーウォルター監督 ダルビッシュは絶好調。制球力が違いを生み出した。得点の手段を見つけられなかった。先発の力がものをいった。

 ▼アロンソ 制球が良く、仕事を遂行していた。シンプルに凄い仕事。打者の弱点を突いてきた。

 ▼ギローメ(67マイル=約108キロのカーブに空振り三振)スローカーブを持っているのはみんなが知っている。それでもバランスを崩されてしまった。

 ▼マルテ 凄い投球をした。球種をうまく交ぜ合わせ、コマンドも良かった。監督の信頼を得て、7回まで投げ切ったのだから、脱帽しなければいけない。

 ▼ニモ 悔しいが、ポストシーズンというのはいい投手が出てくるもの。仕事をやり遂げた彼に脱帽するしかない。

 【ダルビッシュに聞く】
 ――ワイルドカードシリーズ初戦の敵地は序盤から大歓声。
 「試合前から盛り上がっていた。初回、2回のピンチの時は本当に歓声が凄くて、僕の横でワーッと言われているような感じだった。ただの音だと考えたことで落ち着いた」

 ――打線の援護が大きかった。
 「こんなにシャーザーが打たれるところを見たことがない。こういう試合があるんだと凄くびっくりしたし、楽になった」

 ――右足親指付近の出血がありながらも7回6安打1失点。
 「あんまり良くなかった。風が吹いていて、直球がちょっとカットし、ツーシームもカットしていたので、スライダー系を多くした。あれだけ点を取ってくれたので、考えすぎず楽に投げられた」

 ――家族のサポートが力になっている。
 「いつも本当に力をもらっている。それを全部言うと泣いちゃうのでやめますけど」

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