28歳お父さん投手がヤクルトに快投 ドラ1候補「あの人がプロに行かなくて誰が…」 東京ガス臼井の挑戦

[ 2022年10月9日 11:19 ]

練習試合 東京ガス6―3ヤクルト※特別ルール10回制   臼井投手 ( 2022年10月8日    神宮 )

練習試合<ヤクルト・東京ガス>8回から救援した東京ガス・臼井(撮影・村上 大輔)
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 社会人野球の東京ガスは8日、CSファイナルS(12日開幕)を控えるヤクルト1軍と練習試合を行い、6―3で勝利。プロ志望を表明している最速154キロ右腕・臼井浩(いさむ)投手(28)は8回から登板し、3回を3安打無失点で4奪三振。昨年の都市対抗初優勝に導き、MVPにあたる橋戸賞を獲得した「社会人No.1投手」がプロ相手にもベテランらしい冷静な投球を見せた。

 11球団22人のスカウトが集結。お目当ては先発した最速153キロ右腕・益田武尚投手(24)。今秋のドラフト1位候補に挙がる「即戦力右腕」は3回を4安打1失点3奪三振で降板すると、スカウトは続々と席を立った。だが、5球団のスカウトはもう1人のドラフト候補を待った。

 6―3で迎えた8回から5番手で臼井が登板。スピードガンを構えるスカウトもいる前で実力を発揮した。最速で148キロを計測した直球に、カットボール、スライダー、カーブ、フォーク、ツーシームと多彩な変化球を織り交ぜた。鋭く落ちるフォークで川端、丸山らから4つの空振り三振を奪い「思ったところに投げられました。(フォークは)シンカー系に近いイメージで投げています」と振り返った。
 
 3回を無失点に封じて練習試合ながらヤクルト1軍相手に勝利。度付きサングラスをかけて「ポーカーフェイス」を貫く男は最後のアウトを二ゴロで奪うと、少しだけ表情を緩めた。関係者として観戦が許されていたバックネット裏の妻・恵さんと2歳の悠悟君に手を振り「休みの日にどこにも連れて行けない。こういうちょっとした“お出かけ”でいいところを見せたいというところはありました」。野球に打ち込む男なりの「家族サービス」だった。

 降板後、取材陣に囲まれた益田は背中を追い続けてきた先輩をこう表現した。「社会人投手の中で一番凄いと思っています。あの人がプロに行かなくて誰が行くんだというぐらい。低めに集めたり、バッターの反応を見ながら投げたり。ブレがない、波が少ないというのは凄いこと。あれをマネしたいなというのはずっと思ってきたことです」。「1位指名候補」も絶賛する卓越した投球術を備える臼井。プロ入りの扉は開くのか。10月20日のドラフトで答えが出る。(柳内 遼平)

◇臼井 浩(うすい・いさむ)1994年(平6)4月2日生まれ、神奈川県出身の28歳。小1で野球を始め、大谷中では神奈川綾瀬シニアに所属。光明学園相模原(神奈川)では甲子園出場なし。中央学院大を経て、東京ガスでは18年に侍ジャパン社会人代表に選出。憧れの選手は東京ガスOBのロッテ・美馬。1メートル68、78キロ。右投げ左打ち。

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