エンゼルス・大谷電撃契約の舞台裏 “トレード市場での価値を見定める”早期契約

[ 2022年10月3日 02:30 ]

エンゼルス・大谷 43億5000万円で1年契約合意

<エンゼルス・レンジャーズ>8回、ヒットを放つ大谷(撮影・白鳥 佳樹)
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 本来、エンゼルス・大谷の契約が年俸調停に持ち込まれた場合、双方が希望額を交換するのは来年1月半ばで、23年の年俸が確定するのは1月下旬以降だった。なぜ、これほど早く決まったのか。それは球団売却を進めるエンゼルスが大谷の来季年俸を確定させることで、不確定要素を一つ減らし、新オーナーとの交渉をスムーズに運びたいとの思惑があるからだ。

 今回の電撃契約は大谷が来季、エ軍でプレーすることを保証するものではない。アート・モレノ・オーナーは、少しでもいい条件で球団を売りたい。球界の看板選手を抱えているのはプラスだが、この時期に大谷と長期契約を結んでしまうと、トラウト、レンドンを加えた3人の高額契約選手を引き受けることに躊躇(ちゅうちょ)する買い手もいる。むしろ“売り時”の大谷をトレードに出し、見返りに若手有望株をたくさん集めた方が喜ぶ買い手もいるだろう。

 今オフのFA市場は、ジャッジ(ヤンキース)、デグロム(メッツ)ら超大物が並び、年俸は5000万ドル(約72億5000万円)とも噂されている。トレードとはいえ、投打で2人に匹敵する力量を持つ大谷が年俸3000万ドルの「格安」で手に入れられるならば、名乗りを上げる球団はいくらでもある。

 新オーナーが正式に決まるのは来年4月か5月。そこから新オーナーが大谷側と交渉に入っても、契約延長で合意できるかどうかは分からない。ならば、11月のトレード市場に大谷を出し、どれだけの見返りを得られるかをきっちりと把握する。そのためにも大谷の市場価値を早めに確定させる必要があった。(奥田秀樹通信員)

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2022年10月3日のニュース