村神様は「大あっぱれ!」 通算504本塁打の張本勲氏が村上の56号と3冠王を称える 王貞治との比較も

[ 2022年10月3日 21:58 ]

張本勲氏
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 村神様は「大あっぱれ!」だ。球界のご意見番で通算504本塁打の張本勲氏(82=本紙評論家)が、王貞治を抜く日本選手最多のシーズン56本塁打を記録したヤクルト・村上を絶賛。王との似ている点などを挙げ、世界記録868本塁打の更新へ期待を寄せた。

 5打席連続本塁打に史上最年少でのシーズン50号。そして、「世界の王貞治」を抜き去る日本選手最多の56号――。優勝が懸かったシーズン最終盤は非常に苦しんだが、村上の活躍は「大あっぱれ!」ですよ。3冠王ももちろん、あっぱれだ。

 久しぶりに、本当の意味で「力強い」スイングをする打者が現れた。遠くへ飛ばすのは天性だが、まさに長距離打者。腕力、体力があるのはもちろん、下半身がどっしりしているのが最大の武器だ。強じんな下半身があれば、一度は振りに行ったボール球にもバットが止まる。ボールの見極めは四球増につながるし、甘い球を改めて待つこともできる。1年間を通じると、この差が非常に大きい。

 ワン(王)ちゃんとは違うタイプの長距離砲。一本足打法の王ちゃんが美しいスイング、高い集中力でボールを一点で捕まえるイメージなのに対し、村上は力で豪快に持っていく。ワンちゃんは引っ張る打球が多く、村上が広角に打ち分けるのも大きな違いだ。似ているのは、同じ左打者として踏み出した右足にきっちりと体重が乗っている点。軸足に体重を残したままふんぞり返ったようなフォームで打つホームラン打者が多いが、2人は違う。
 投手側の右足に体重が乗れば、多少体勢を崩されたとしてもバットに当たったボールに体重が乗り、その分だけ打球は飛んでいく。シーズンで50、60本塁打と本数を稼ぐには、こういった一発も絶対に必要だ。ワンちゃんはこの点がうまかったし、村上も似ている。

 過去に、そのワンちゃん、大下弘さん、別当薫さん、田淵幸一、清原和博、松井秀喜…。数多くの長距離打者がいたが、村上は彼ら偉大な先人に続く存在だ。まだ22歳。これから何年も連続して本塁打王を獲得するだろうし、ぜひワンちゃんの世界記録である868本塁打を目指してほしい。それができるのは、この男しかいないと思う。(本紙評論家)

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