羽生 2年ぶり世界選手権「何かしら意味のあるものに」、北京五輪へ日本に3枠を「最大限、貢献したい」

[ 2021年3月24日 05:30 ]

サブリンクで練習する羽生(撮影・小海途 良幹)
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 フィギュアスケートの世界選手権はスウェーデン・ストックホルムで24日に開幕する。昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となり、2年ぶりの大舞台。ウイルスの猛威は収まらず、選手らは外部との接触を断つ「バブル」に身を置き、無観客での開催となる。男子の羽生結弦(26=ANA)は、特殊な環境での決戦を前に言った。「ここに来て滑るからには、何かしら意味のあるものにしたい」。ロックナンバーで攻める25日のSP。葛藤を抱える軍神と化す27日のフリー。そして、28日のエキシビション。全ての演技を終えた時、その思いは現実になる。

 日本の絶対エースとして、3度目の大仕事に挑む。羽生は22日、サブリンクでの公式練習後にオンライン取材に応じ、テーマを明かした。4年ぶり3度目の頂点を狙う世界選手権は、22年北京五輪での最大3枠の出場枠獲りが懸かる。「枠獲りに関しては最大限、貢献したい。僕にとっては今のところそれだけ」と決意を示した。

 連覇を果たした14年ソチ、18年平昌両五輪の前年はともに日本勢最上位として3枠確保に貢献した。重圧ものしかかるが、静かに準備を進めている。現地の初練習はマスクを着けてフリー「天と地と」を流して滑走。その後はマスクを外しながら汗を流した。昨年12月の全日本選手権には同行できなかったオーサー、ウィルソンの両コーチと談笑するシーンもあった。23日の午前練習は回避した。

 臨戦過程は順風満帆ではなかった。20日夜には宮城県で最大震度5強の地震が発生。新幹線移動ができず、急きょ飛行機の便を変更し、21日にストックホルム入り。「練習プランとしてはちょっとずれている」と吐露したが、百戦錬磨の王者は慌てない。「自分が目指している良い演技を毎日一つずつ重ねて、グラデーションのように良くなっていってくれれば」と語った。

 1年1カ月ぶりの国際舞台はコロナ禍の第3波に直面しているストックホルム。日本選手団ではないが、既に大会関係者にコロナ陽性も出た。「とにかく無事に、何の不安もなく日本にしっかり帰る。しっかり健康な状態で、この試合を終えられたら」。もちろん氷上で見せるのは、上質な演技。最高の結果で五輪枠を持ち帰る。

 ▽フィギュアスケート22年北京五輪出場枠 男女とも最大枠は「3」。今大会の成績を基に割り振られ、各国・地域の上位2人の順位合計が「13」以内なら最大枠。「14~28」なら2枠となる。ペアは19枠のうち16枠、アイスダンスは23枠のうち19枠が今大会で決定。残りは9月下旬のネーベルホルン杯(ドイツ)で選ぶ。なお、団体は来季のGPシリーズの結果と合わせ、10カ国・地域に出場枠が割り振られる。

 【羽生と五輪前年の世界選手権】
 ▼13年=カナダ・ロンドン 左膝の負傷を抱え、SPは9位と出遅れ。フリー当日の練習では右足首を負傷したが、4回転サルコーをこらえて着氷するなど底力を見せ3位。合計4位と奮闘し、6位の高橋大輔と合わせソチ五輪の3枠を獲得。

 ▼17年=フィンランド・ヘルシンキ SPは4回転サルコーからの連続技でミスが出て5位。ループなど4回転4本を決めたフリーではルール改正前の世界最高となる223・20点を出し、逆転優勝を果たした。宇野とワンツーフィニッシュで平昌五輪3枠を決めた。

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