荒磯親方 鶴竜に教えてもらった優勝する力士の執念…内に秘めた激しい闘争心

[ 2021年3月24日 21:45 ]

2018年の大相撲秋場所14日目、鶴竜(右)を寄り切りで下す稀勢の里
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 大相撲の横綱・鶴竜(35=陸奥部屋)が春場所11日目の24日、現役を引退した。同日の日本相撲協会理事会で引退と年寄「鶴竜」の襲名が承認された。現役時代に激闘を繰り広げた荒磯親方(元横綱・稀勢の里)が、土俵を去るライバルに言葉を寄せた。

 私の現役最後の勝利が18年秋場所14日目の鶴竜戦でした。一緒に戦ってきた者としては残念で寂しい。精神的にも肉体的にも追い込まれたと思いますが、もう一度土俵での姿を見たかった。その思いは鶴竜自身が一番強く感じているでしょう。

 土俵上で何度も対戦してきましたが、思い浮かぶのは立ち合いでの無駄のない動き。とにかく懐に入る速さが半端でなかった。私が対戦した力士でも一番です。スピードは衰えなかったし、2本入るまでの俊敏な立ち合いには本当に手を焼きました。

 いつも温厚な表情で優しそうな印象を受けますが、内に秘める激しい闘争心を何度も感じていました。私の一番の思い出は15年秋場所14日目。鶴竜が立ち合いで右、左と2度変化しました。ブーイングも浴びたように勇気がいることですが、横綱初優勝への執念を感じました。私は、これが優勝する力士か、まだまだ自分は足りない、と教えてもらった取組でした。

 人望も厚く力士会会長として何度も協会に意見を挙げてもらうなど、我々の思いをよく代弁してもらいました。今後は後進の指導に当たられることになりますが国技発展のため、一緒に盛り上げていければと考えています。落ち着いたら一緒に話をしたいものです。(元横綱・稀勢の里)

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