“おもてなし3代目”国立競技場 新たな聖地から生まれる五輪の感動

[ 2019年12月16日 05:30 ]

「杜のスタジアム」お披露目…新しい国立競技場の全景(撮影・会津 智海)
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 日本スポーツ振興センター(JSC)は15日、2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる新しい国立競技場を報道陣に公開した。明治神宮外苑競技場、旧国立競技場に続く3代目の聖地は、先月30日に36カ月、1569億円をかけて完成。木と緑をコンセプトにした「杜のスタジアム」の全容が明らかになった。

 紆余(うよ)曲折を経て完成した国立競技場がベールを脱いだ。地上5階、地下2階の建物は、内外に木材と木目調のデザインをふんだんに使用。さまざまな草木があふれ、競技大会やイベントだけでなく憩いの場も兼ねたスタジアムへと姿を変えた。

 外観は日本の伝統建築の技法「軒びさし」を取り入れた。下3層のひさしは47都道府県の木材でつくられ、北から南に向けて北海道から沖縄までの杉(沖縄は琉球杉)が並べられている。ゲートには東日本大震災の被災地などの木材を使用。ひさしから続く建物内の天井は防火のために木目調のアルミ材となっており、安全面も考慮されている。JSC関係者によると今後、ホームページなどで各県の木材の配置場所を公表するという。

 3層からなる約6万席の観客席は角度があり、より臨場感を感じることができる。さらに無線LAN「Wi―Fi」のスポットが座席の下に設置され、3万人が同時に接続可能。SNSへの投稿や動画視聴などストレスなく観戦できる現代的施設となる。屋根は根元から先端まで約60メートルあり、スタンドは全て覆われる設計。この日もほとんどの座席が日陰になり、雨も45度の角度までしのぐことができる。最上部にあるアルミ材の「風の大ひさし」は方角によって縦格子の間隔に違いがあり、風が観客席に下りるように暑さ対策も徹底している。

 ユニバーサルデザインのこだわりも随所に見られた。障がい者団体へのヒアリングを重ねトイレの便座やエレベーターの階数ボタンの位置をミリ単位で追求。約500席の車いす席には介護者用の座席もペアで設置され、前方の観客が立っても視界を遮らない高さになっている。

 5階部分のコンコースには170本の中木や3万9108ポットの草木が春夏秋冬を彩る。イチョウ並木など緑豊かな明治神宮外苑に溶け込んだ新たな聖地。東京五輪開幕まであと7カ月。来夏の熱い戦いとともに新たな歴史が刻まれる。

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