関学大・鳥内監督 男がほれる人情の男 人一倍強い「選手ファースト」の意識

[ 2019年12月16日 05:30 ]

アメリカンフットボール 第74回甲子園ボウル   関学大38―28早大 ( 2019年12月15日    甲子園球場 )

<関学大・早大>甲子園ボウルを制し、トロフィーを掲げた鳥内監督(中央)と歓喜の関学大の選手たち(撮影・山口 和洋)
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 万感の思いで、聖地を去る「青の象徴」を見送った。関学大の鳥内監督にとって、最後の甲子園ボウル。脳裏を駆ける思い出は違っても、「寂しくなるな」の感想は一致した。

 関西学生アメフト連盟の浜田篤則審判部長(59)は、関学大でKやDBとして活躍した指揮官の1学年下。FGやTFPを蹴るキッカーの“相棒”ホルダーとして3年間、コンビを組んだ。「鳥内さんは当時からチームの精神的支柱。上級生にも、どんどん自分の意見を言う人だった」。印象に残るのは、プレーで失敗しても堂々と振る舞う姿。首脳陣に叱られてもへこまず、ミスした後輩を叱責(しっせき)する場面も記憶にないという。その後、2人の立場は監督と審判に。ルールが変更される度、闘将は同じ言葉を口にした。

 「反則を取るなら、ちゃんと取れよ、と」。安全性を求める根底に「選手ファースト」の意識がある。94年から4年間、同志社大の監督として対戦した川口隆弘同連盟副理事長(65)も同意する。「彼は“選手を守る”という意識が人一倍強い」。監督在任時、同大OBと関学大の現役選手にトラブルがあった時、電話で猛抗議を受けた。「あんなに怒っていたのは一度きり」。昨年の日大タックル騒動で示したスタンスも同じだった。

 豪放磊落(らいらく)に見え、繊細な一面も。試合前、川口氏が振る舞う「イカ焼き」を食べるのが何年も続くルーティン。一度食べなかった時、低調な内容になり、それ以来、験担ぎは続く。「あんなに正義感が強く、義理人情に厚い人は他にいない」と明かすのは、プライベートで親交が深い金本文男さん(67)。金本さんの経営する居酒屋でグラスを傾ける瞬間が唯一の息抜きといっていい。酒席であっても、知人が困っていると聞けば、八方に電話して手を尽くす面倒見の良さ。「ああいう監督さんはもう出てこないでしょうね」。名将である前に、鳥内監督は男がほれる男だった。

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