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概ね盛況のラグビーW杯 将来に残された宿題とは

[ 2019年9月28日 12:30 ]

<日本・ロシア>国歌斉唱する日本代表フィフティーン(撮影・吉田 剛)
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 20日の開幕以降で初めて試合がなかった27日、ラグビーW杯日本大会の組織委員会は、「第1週を終えて」と題した報告書を発表した。7日間で12試合が行われ、総観客動員数は42万6200人。1試合平均は3万5517人で、チケットは販売可能数の97%を売り上げたという。テレビで観戦したいくつかの試合で、ごそっと固まりの空席が散見されたのは気になるところだが、概ね盛況と言っていい。テレビ視聴率やSNSのヒット数も好調との報告で、組織委の嶋津昭事務総長も「何より日本中がラグビーで盛り上がっている姿を目の当たりにし、非常にうれしく思っています」とのコメントを発表した。

 改めて組織委がこれまで発表してきた大会認知度調査結果を振り返ると、前回大会が開幕した15年9月時点では51・2%に過ぎなかった。日本代表の活躍があり、同年10月は63・3%にジャンプアップ。しかし16年3月には50%台に落ち込み、再び60%台に回復したのは18年9月。今年9月15日に発表した最新調査では、83・9%だった。

 この83・9という数字が高いか低いかは、正直言って判断しかねる。立場上、街中やテレビ、あるいはスマホの画面でW杯の関連物があれば必ず目に入り、盛り上がっていると感じてしまう。一方で開幕前とは言え、16・1%の人は認知をしていなかった事実は、世の中の現実を映し出しているとも言える。

 一メディアとして盛り上げや認知度アップの一助になろうとしてきたつもりだが、ある民放局のラグビー担当者からは、こんなぼやきを聞いたことがある。今年の春ごろ、夜のニュース番組で代表選手の特集を企画。2人ほど番組で紹介し、二の矢三の矢と放とうとしていたところ、会社の上層部から「あんまりラグビーを取り上げなくてもいいよ」とくぎを刺されたという。

 日本国内でW杯の放映権を持つ地上波放送局は、NHKと日本テレビの2局。試合を生中継できない他局にとってみれば、事前に盛り上げてNHKと日本テレビの視聴率が上がれば、敵に塩を送ることになる。ネット社会になっても、まだまだ絶大な影響力を持つテレビだからこそ、ラグビー取材担当者の情熱だけでは乗り越えられない利害関係の壁が存在する。

 こうした問題はラグビーに限らず、他の競技にも大なり小なりある。名実ともに、日本中が自分たちの代表を応援できる体制の実現が、4年後、8年後へ残された宿題のように思う。(阿部 令)

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