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美ら海でムチグヮー満喫 南国らしいカラフルな“仲間”入れ食い

[ 2023年9月14日 07:21 ]

ムチグヮーなどが一荷で釣れ上がる
Photo By スポニチ

 【釣り日和】グルメ道の“大魔神”伊藤克博さんは、月間30万PVの人気グルメサイト「食べ太郎.com」を運営している。今回、夏休みを利用して沖縄県久米島へ。友人所有のボートで南洋に遊んだ。釣魚で作り上げた逸品は?

 「ここはニライカナイか」…私はエメラルドグリーンとコバルトブルーのコントラストが織りなす絶景の海の上にいた。
 琉球では海のかなたにある楽土を「ニライカナイ」と呼んだ。そんな楽土についに私は至ったのだ、というわけではない。そこは沖縄県の久米島。この楽土のごとき美しさをたたえた海が今回の舞台だ。

 地元で不動産業を営む真栄平建正(まえひら・けんしょう)さん自らがかじを握った船は泊フィッシャリーナから出船し、仲里港北防波堤灯台付近でイカリを下ろした。

 目の前に広がるのは碧く澄み渡った海。左舷側では同乗者がシュノーケリングのレクチャーを受けている。一方で私はニライカナイに誘われるかのように誰もいない右舷側の海へ身を投げていた。プールと海はイコールではない。水泳競技で小学校代表になった40年前のほこりにまみれたカビ臭い自信は、大海原の前では無意味だ。必死に左舷のハシゴまで移動してことなきを得たが、初心者は素直にレクチャーを受けるべきだと痛感した瞬間であった。

 さあ、気を取り直して釣りの開始だ。

 水深は5メートルほど。のべ竿仕様に胴突2本バリ。仕掛けを投入すると早速の魚信だ。

 「ムチグヮー」(ノコギリダイ)が一荷で釣れ上がる。沖縄や小笠原などの産地でしか流通していない魚だ。その他、南国らしいカラフルなブダイの仲間も釣れた。ほぼ入れ食い。根掛かりすると真栄平さんが潜って外してくれる。これも久米島流だ。

●塩焼きなど調理

 東京の自宅へ戻り、真栄平さんが送ってくれたムチグヮーを調理していく。手始めにシンプルな塩焼き。ほどよい脂とうま味だ。
 ただし、生の身は他の魚に比べてもろいので初日はなめろうにし、翌日に刺し身で味わった。半冷凍にするとさばきやすい。

 淡泊な味は寿司と天ぷらにも合う。昆布締めもあっさりしたうまさ。対してうしお汁にした出汁(だし)は力強い。

 島人のソウルフード、マース煮も作った。泡盛と塩だけで作る煮魚だが、塩味の利いた泡盛の風味にムチグヮーの味が引き立つ。

 締めは出汁の濃厚さを生かしたラーメン。大量のアラで取った出汁に塩だけで調味したスープは、さっぱりとしていながらもコクがあり、ラーメンスープとして何ら遜色はない。トッピングは出汁を取ったアラの身を集めた揚げダンゴ。

 余すところなくムチグヮーを堪能した。

 ◯…真栄平さんが船上で作ってくれた特別料理を紹介する。海水で濡らした右手に白飯を握り、船上でさばいた刺し身をのせて頂く。海水の奇麗な久米島ならではの食べ方であろう。その時、その場でしか食べることができない久米島の海というシェフの“スペシャリテ”だ。

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