×

“女王”シロギスに酔いしれる 20匹を和洋折衷グルメで堪能

[ 2023年6月8日 07:20 ]

釣れちゃった感が強いけど良型が1匹
Photo By スポニチ

 【釣り日和】釣って食べるを極めたい!月間30万PVの人気グルメサイト「食べ太郎.com」を運営する“食べ太郎”こと伊藤克博さんが挑んだのは東京湾のシロギス。江東区葛西橋・第二泉水で竿を出した。

 人生2回目となる船釣り前日、シマノのクーラー「フィクセルベイシス」をお供に船宿へ到着すると、そのピカピカの真新しさ加減がいかにも初心者でござい、と喧伝(けんでん)しているかのように思え、逆に気恥ずかしくなる。

 しかし船上で心地よい潮風を受けているうちにそんなささいな思いは東京湾の水面に溶けて消えていった。

 今回、狙うのは“海の女王”や“なぎさの貴婦人”とも称される美しい魚体を持つシロギス。江戸前三大天ぷらの一角を担い、古くから親しまれてきた魚でもあるがスーパーの鮮魚コーナーなどで見かけることは少なく高級魚扱いとなる。

 そんなシロギスだが果たして竿を出しても当たりは皆無。オデコで終わるのかという不安が首をもたげてきたころにマアジとは異なる感触が手に伝わってきた。釣り上げたシロギスのその優美な流線形の輝く姿は、まさに女王然とした美しさであった。釣果はシロギス20匹、ゲストのイシモチが2匹とトラギスが5匹。

 爆釣には至らなかったので魚の数を計算しながら調理計画を立てる。シロギスの味をどう組み込んで調理して盛り付けていくかを想像する。料理好きにとってはこの時間も楽しみの一つだ。

 まずは和食でラインアップを組んだ。笹(ささ)、昆布、梅酢でそれぞれ締め、皮目をあぶったものと合わせて握りを4種。1匹はトラギスとともに姿造り。結びキスの吸い物は頭からだしを取る。そしてやはりメインは天ぷらだ。ふわりとした柔らかな身の上品なうまさはまさに王道にして至高の味。

 次にマリネしたシロギスをトマトソースの冷製パスタでイタリアンに。フレンチからはタルタルとポワレ。焼きパインとクリームチーズを巻いて湯煎したシロギスにはソラマメのムースを合わせた。 シロギスの癖のない味わいは主張が強い食材とも調和が取れる底力がある。

 最後は居酒屋風でいってみたい。抱卵していた個体の卵巣を塩漬けにしておいたが、これに焼いた骨を浸した骨酒がとても合う。うまみが凝縮された干物も酒が進む逸品。

 焼き目を付けたシロギスは焼き浸しに、湯引きしたものは青のりだしに合わせた。骨せんべいとあぶったトラギスの干物もよいつまみになる。イシモチは本格的な温燻(おんくん)で味わった。

 そしてだしを取り終えた頭に残った身はポン酢で食したが、あれだけ濃いだしを取った後でもまだまだうまみがあることに驚く。そのうまみたっぷりのだしをかけた茶漬けでシロギス料理を締めくくった。

 こうして江戸前のシロギスを存分に堪能したわけだが食いしん坊的にはまだまだ食い足りない。今は「釣料食」の入り口に立ったに過ぎないのだ。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、葛西橋・第二泉水=(電)03(3645)2058。出船は午前7時。乗合料金9500円。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る