「どうする家康」於大の方・松嶋菜々子“強引&愛嬌”もネット話題!4つの大役制覇 女優業30年の境地

[ 2023年2月19日 11:00 ]

「どうする家康」於大の方役・松嶋菜々子インタビュー

「どうする家康」に於大の方役でレギュラー出演、21年ぶりの大河ドラマ凱旋を果たした松嶋菜々子(C)NHK
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 女優の松嶋菜々子(49)がNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)に主人公・松平元康(のちの徳川家康)の母・於大の方役でレギュラー出演。要所要所に登場し“戦国の母”として絶大な存在感を示している。押しの強さと愛嬌もSNS上の話題に。大河出演は俳優の唐沢寿明(59)とダブル主演を務めた2002年「利家とまつ~加賀百万石物語~」以来、実に21年ぶり2回目。50歳を迎える節目の年の大河凱旋となった。昨年、女優デビュー30年を迎えた松嶋の“現在地”とは――。

 <※以下、ネタバレ有>

 「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどのヒット作を生み続ける古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛け、嵐の松本潤が主演を務める大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となる。

 於大の方は家康に乱世の厳しさを教えた戦国の母。わずか15歳にして竹千代(家康)を産み、その3年後、実家の水野家が松平家と敵対関係になったため離縁され、愛息と生き別れた。

 初登場は第2話「兎と狼」(1月15日)。竹千代が生まれ、夫・松平広忠(飯田基祐)の「年が明けて、今年は兎(卯年)じゃ。となると、兎の…」という疑問には「寅です。数日早く生まれたことにすればよいのです。この子は寅の生まれ、寅の子です。兎などいけませぬ。狼に狩られてしまいます」と主張した。

 第3話「三河平定戦」(1月22日)は、母子16年ぶりの再会。感涙と抱擁も束の間、「今川と手をお切りなさい。今川はもうおしまいです」「そなたの父上は、かつて尾張におったそなたを見捨てました。恨んでおいでか。わたくしは、たいそう立派なご判断であったと思います。主君たる者、家臣と国のためならば己の妻や子ごとき平気で打ち捨てなされ!」と叱咤激励した。

 愛息とケンカ別れしたかと思いきや、第5話「瀬名奪還作戦」(2月5日)、再婚した夫・久松長家(リリー・フランキー)、6人の子どもと三河・岡崎へ転居。「元康殿、思う存分、今川領を切り取りなされ!」とハッパをかけた。

 第6話「続・瀬名奪還作戦」(2月12日)は、今川家重臣・鵜殿長照(野間口徹)が守る難攻不落の上ノ郷城攻め。岡崎城の大台所。「そなたたちは、何故米を米と呼ぶか知っておるか。心を込め、命を込め、勝利への願いを込めたるものだからじゃ。ボーっと握ってはなりませぬぞ。勝て、勝て、勝て。そう念じながら握るのです」と握り飯作りを指揮した。

 さらには長家を元康の前に引っ張り出し「この戦、攻め手の大将は我が夫、久松長家にお任せくだされ」「うちの人はもうなんてたって城攻めの手練なんですから」「そして、見事攻め落とした暁には、上ノ郷城、我が夫にお与えくだされ」「なあ、よいであろう?」「ありがとう存じまする」と強引。元康は「えっ?」を連発するしかなかった。

 SNS上には「めっちゃ強引w」「こんなにグイグイ押しが強い於大の方様、初めて見た」「(『鎌倉殿の13人』の)りくさんくらい押しが強くて愛嬌がある於大の方。一周回って好きになってきた」などの声が続出。逞しい戦国の母ぶりが反響を呼ぶ。

 「物静かだが、芯の強い女性」をイメージしていたものの、松嶋は「なかなか弾けていまして(笑)、(第2話のポーズ付き虎の鳴き真似『ガオー』も)現場でも『もっと』とお願いされて(笑)。そういうシーンは中途半端がよくないので、思い切り演じることを心掛けています。ただ、やはり時代劇なので、言葉遣いや所作は大事に、現代に振れすぎないように、バランスを肝に銘じています。これから時々出てくる度に弾けているかもしれませんが(笑)、それも楽しんでいただけたらいいなと思います」と予告した。

 モデル業からスタートし、92年に女優デビュー。96年前期のNHK連続テレビ小説「ひまわり」のヒロインに抜擢された。朝ドラ100作目の19年前期「なつぞら」にヒロインの母親役として凱旋。23年ぶり2回目に朝ドラ出演を果たした。今回の大河帰還により、朝ドラのヒロイン&ヒロインの母親役、大河の主演&主人公の母親役と4つの大役を制覇。“偉業達成”となった。

 朝ドラや大河は「やはり自分にとって一つの節目や目標といいますか、自分の立ち位置を確認できる場所といいますか、そんな作品です。自分は一つ一つの作品に向き合って、ただただ走ってきただけなんですけど、ありがたいことに『なつぞら』から間を置かずに今度は大河ドラマのお母さん役を、しかも今年50歳になる年に頂いて、凄く感慨深いものがあります」としみじみ。

 30年にわたる女優業キャリアについて水を向けると「これまで何周年とか考えたこともなかったので、今、ご質問を頂いて気がついたぐらいです(笑)。ただ、30年経っても役者としては何の自信もついていなくて」と打ち明けた。

 「60歳まで続けたとしても、70歳まで続けたとしても、たぶんきっと自信がないんだろうなと思います。演じるということは、そうやってずっと苦しんでいくものなのかなと少し引いて自分を客観視できる年齢になってきたと感じてはいます。自分が納得したシーンも、そうじゃないシーンも、きっと伝わり方は人それぞれですよね。ファンの方から『あのシーンは、こういう気持ちで演じられていたんですよね』とお手紙を頂いて、私の役柄が見てくださっている方の中でどんどん膨らんでいて、その方のものになっていることに気づいた時、お芝居で1個の正解を追い求めるのは違うんじゃないかなと思えるようになりました。正解がない世界なんですけど、それでも挑戦し続けるのが、この仕事の大変なところでもあり、面白いところなのかなと思う今日この頃です」

 この境地に達したのは「やっぱり徐々に、徐々にですね。20代は体力があっても経験がなくて葛藤しましたし、年齢を重ねると、今度は経験があっても体力的に落ちる日もあったり。その日その日の自分の全部が出てしまう仕事なんですけど、それも楽しもうと。自分で自分をそんなにいじめなくてもいいのかなと思うようにはなりましたね」。そう語る姿も、実に自然体だった。

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