坂本龍一 がんと闘いながら実現目指す大仕事「まだなかなか難しくて、構想段階で」

[ 2023年1月5日 23:15 ]

坂本龍一
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 ミュージシャンの坂本龍一(70)が、5日放送のNHK「NHKミュージックスペシャル 坂本龍一プレイング・ザ・ピアノ」(後10・00)に出演し、コロナ禍や闘病生活で変わった感性と、今後の創作活動について明かした。

 2014年に中咽頭がんと診断され、寛解するも、20年に直腸がんが見つかり、一昨年1月に摘出手術を受けた。また、両肺に転移したがんを同年10、12月に摘出したと、昨年6月の文芸誌「新潮」で公表。自身のがんの進行度が、最も進んだステージ4であることも明かした。体力的なことも考慮し、収録は複数回に分けて行われた。

 自身の闘病と、新型コロナウイルスの世界的流行が重なるようにして起き、「人生観は大きく変わりました」という。「世界的なパンデミックということと、とても個人的な病気ということが、ほぼ重なってこの間、起きてきたので。ずいぶんと揺さぶられるというか、自我が。そういう感じがあって。きらびやかな世界じゃなくて、枯れた世界にひかれるようになってきて」。雨音や、風で竹を揺らす音に心をひかれるそうで、「それだけで音楽としては十分だなと感じるんですが、そこに自分が何を足せるか。どうやって自然の音と共演できるか、コラボレーションできるかはよく考えますね」と、自身の感性を披露した。

 闘病しながらも「生きているうちは音楽を作り続けて、日記のようなスケッチも折々、作っていきます」と宣言。「大きな作品を作る予定があって。オーケストラの曲なんですが、まだなかなか難しくて、構想段階で」と、具体的な計画も口にした。「今回、録音したピアノの曲の中で、ゆっくり弾きながら音と音の間の響き、もわーんと響いている響きというのがものすごく好き」といい、「響きの音楽をオーケストラでやってみたいと思っているんだが」と、自身のイメージを明かした。「僕の技量でそういうのが書けるかどうか、自信はないですね。努力してみますけど」。飽くなき創作意欲は、まだまだ枯れることはなさそうだ。

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2023年1月5日のニュース