ポール・マッカートニー 新作の発展形の聞き応え

[ 2021年7月26日 08:01 ]

ポール・マッカートニーのアルバム「マッカートニー3 IMAGINED」のジャケット
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 【牧 元一の孤人焦点】ポール・マッカートニーの新譜を聴くと、つい、ザ・ビートルズっぽい部分を探してしまう。45年以上前の小学生の頃からビートルズを聴き続けているせいだろう。

 今月23日に発売されたニューアルバム「マッカートニー3 IMAGINED」を聴いた。昨年12月発売のアルバム「マッカートニー3」を一流ミュージシャンたちがリミックス、もしくはカバーした作品だ。

 7曲目の「スライディン」は英国のロックバンド「レディオヘッド」のギタリスト、エド・オブライエンのリミックス。もともとハードロックで、ポールの力強いエレキギター演奏が印象的だったが、スピード感が高められた上に、ポールのシャウトが強調され、躍動感が増した。この曲に関してポールは「ビートルズっぽくなってしまった」と話しているという。本人には、昔に戻ることに複雑な思いがあるのかもしれないが、長年のファンとしては願ってもないリミックスだ。

 10曲目の「ホエン・ウィンター・カムズ」は米国のシンガー・ソングライター、アンダーソン・パークのリミックス。もともとポップなメロディーが光る曲で、ポールの巧みなアコースティックギター演奏が際立っていたが、ピアノなどで再構築され、ポップ度が上昇した。一度聴いたら忘れない、明快な楽曲のイメージが強くなり、ポールの魅力が顕著になっている。

 音楽に限らず、どの分野でも、本人より第三者の方が、その人の良い部分をよく理解していることが少なくない。ポールがいくら天才でも、自分ではプロデュースし切れない部分、演奏し切れない部分はあるだろう。このアルバムは、1人きりで製作した前作の発展形として聞き応えがある。

 とはいえ、実のところ、前作も忘れがたい。改めて前作を聴いてみると、ポールのアコースティックギターがさえわたっている。「ロング・テイルド・ウィンター・バード」は、途中、歌も入っているが、ほぼアコギのインストゥルメンタルの感じで、引き込まれる。「プリティ・ボーイズ」「ザ・キス・オブ・ヴィーナス」などでも弾き語り風の演奏を楽しめる。

 ポールのアコギは骨太で胸に染みる。これまで見た来日公演で深く心に残る場面のひとつがビートルズの「ブラックバード」の弾き語り。広い東京ドームのステージで、ただ1人、アコギを巧みに演奏しながら歌う姿に、天才の神髄を強く感じたものだ。

 その部分を堪能できる良さが、前作にはある。やはり、発展形の今作と一対で楽しむのが最善だろう。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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