採点競技急増で「芸術」復活あるかも!?

[ 2021年7月26日 05:30 ]

息の合った演技を見せるアーティスティックスイミング日本代表

 【クイズ王・伊沢拓司の五輪の書(3)】今大会の新競技スケートボードの男子ストリートで、堀米雄斗選手が初代王者に輝きました。芸術的とも言える難度の高い技に、ジャッジが高得点を付け、予選6位から見事な逆転優勝でした。ところで、オリンピックに「芸術」という競技があったのをご存じですか?1912年のストックホルム大会から1948年のロンドン大会まで、7大会で正式競技として行われていたんです。オリンピックの復興を提唱したクーベルタン男爵の父が画家で、クーベルタン自身も芸術に精通していたことが実施につながったんだとか。競技は、建築、彫刻、絵画、音楽、文学の5部門。各国の芸術家による作品が開催地に集められ、採点され、スポーツ競技と同様にメダルが授与されました。

 長く続いた芸術競技も「採点の基準が曖昧」などの理由で除外になりましたが、その後は、幅広い文化で大会を盛り上げる現在の「文化プログラム」へと変わっていきました。

 採点競技自体はいまも残っています。体操やアーティスティックスイミングなどで、現在でも人気を集めています。スケートボードのほか、今大会では空手の形、サーフィンなど採点競技が一気に増えました。将来的に「芸術」が復活なんてことも。とはいえ、表現の形態がさらに広がった今、順位付けされたがる画家がいるのかが問題です。

 ちなみに、ストックホルム大会の「文学」で金メダルを獲得したドイツ人作家は、自分だと分からないようにペンネームで応募したクーベルタンだったという話があります。「勝利より参加が大切」というオリンピック精神を体現していたのかも?

 ◇伊沢 拓司(いざわ・たくし)1994年(平6)5月16日生まれ、埼玉県出身の27歳。東大経済学部卒。開成高時代に全国高校クイズ選手権で史上初の個人2連覇。TBS「東大王」で人気に。19年、株式会社QuizKnockを設立しCEOに就任。

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