金子恵美氏 郷土の文豪・坂口安吾に親近感 お薦めは「桜の森の満開の下」

[ 2021年3月2日 05:30 ]

学生時代によく通った、懐かしい西早稲田2丁目を訪れた金子恵美氏
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 【金子恵美の見つけた新潟】食べ物が続きましたので、今日は文化面のお話を。

 過日、新潟市出身の作家「坂口安吾」が昭和初期に書いたとみられる未発表小説の原稿が、昨年11月に都内の古書店で見つかったと報道されました。安吾のご長男で「安吾風の館」の館長、坂口綱男さんが「没後65年たって新しい作品が見つかったことに驚いている」と語っておられるように、まさか東京で郷土の偉人の新たな足跡が発見されたとは、とうれしく思い興味を持ちました。 

 安吾は中学の途中から東京の豊山中学校に転入します。この当時下宿していたのが現在の新宿区西早稲田二丁目。私が学生時代よく通っていたところでもあり、ますます親近感を覚え、久しぶりに早稲田通りを歩いてきました。これがまたなんと、夫、宮崎謙介が26歳で起業し、最初に事務所を構えたのもこの辺りだったそうなんです!

 安吾といえば「堕落論」「白痴」が代表作として知られていますが、私のお薦めは「桜の森の満開の下」です。この作品を漫画で描いたものが文庫本として出版されています。その漫画家も実は新潟市出身の「近藤ようこ」さんです。さすが漫画家を多く輩出する新潟ですね。

 命日に当たる2月17日にゆかりの地で安吾忌が開催されており、安吾の眠る新潟市秋葉区の「新津安吾の会」が催す偲ぶ会に以前参加させていただいたことがありました。(これまた選挙区でした!)安吾の作品に魅了され、今も愛読している方々が多いことをその時、実感しました。新潟市護国神社に文学碑がありますが、都内の世田谷区にも碑があるそうです。そこには安吾が代用教員として働いていた代沢小学校での経験を書いた「風と光と二十の私」の一節が刻まれているということなので、ぜひ足を運んでみたいと思っています。ちなみに未発表原稿は命日の2月17日に「残酷な遊戯・花妖」として刊行されました。ご興味のある方はぜひ。(コメンテーター)

 ◆金子 恵美(かねこ・めぐみ)1978年(昭53)2月27日生まれ、新潟県月潟村(現在の新潟市南区)出身の43歳。月潟小、月潟中、三条高を経て早大に進学。03年にはミス日本関東代表に選出された。07年から新潟市議会議員、10年から新潟県議会議員を経て12年に衆院議員となる。16年に総務政務官に就任。放送行政・IT行政・郵政を担当した。10年間の議員生活を経て現在はテレビコメンテーターとして活躍。昨年10月に出版した著書「許すチカラ」も好評販売中。

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