王将戦第5局第1日のポイント 永瀬、緩急自在の指し回しで主導権渡さず

[ 2021年3月2日 05:30 ]

スポニチ主催 第70期王将戦7番勝負第5局第1日 ( 2021年3月1日    佐賀県上峰町・大幸園 )

王将戦・5局1日目・A図
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 【第1日のポイント 関口武史】渡辺明王将(36)=名人、棋王との3冠=に永瀬拓矢王座(28)が挑む第5局が1日、開幕した。

 本局で防衛を決めたい渡辺が選んだ戦型は角換わり。永瀬は後手番ながら、4局目同様に渡辺の指し手を誘導する。△7三銀(24手目)がその手で、渡辺は誘いに乗って▲4五桂と跳ね、激しい展開となった。

 永瀬は左辺の代償に△6四銀(32手目)~△7五銀(38手目)と足早に活用し、右辺を制圧。さらに激しい展開となるかと思われたが、昼食休憩の局面で永瀬は△8六銀の決戦策ではなく、△7六歩(A図)と穏やかな手を選ぶ。

 戦線を広げ、先手に主導権を渡さずに手将棋模様に持ち込み一転して刀を鞘(さや)に戻す。恐ろしく緩急自在の指し回しだ。数手後の△5二王(44手目)が価値の高い一手で一気に後手陣が引き締まった。後手の左右の銀の自由度が上がったのも見逃せない。永瀬の意欲的な序盤戦術が印象的だ。(スポニチ本紙観戦記者)

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