大河「麒麟がくる」最終回 NHK制作統括者「狂気の駆け引きの極み」

[ 2021年2月7日 05:00 ]

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で対峙する信長(染谷将太)と光秀(長谷川博己・右)(C)NHK
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 NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の制作統括・落合将チーフ・プロデューサーが7日放送の最終回について「光秀と信長の表情に全てが詰まっている」と見どころを語った。

 本能寺の変が描かれる最終回。ここまで長谷川博己(43)は新たな光秀像、染谷将太(28)は新たな信長像を築き上げてきた。

 落合氏は2人について「長谷川さんは、もともと清廉な雰囲気を醸し出していて、存在感としてはそちらが勝つが、本人はとても狂気に満ちた、一種ふれている演技を好んだりする俳優。そして、染谷さんは憑依(ひょうい)型で、役そのものを自分が生きてしまうタイプの俳優。その2人の狂気の駆け引きが終盤、マックスまで達している。これだけ濃密で、ぜいたくな『バディもの』はなかったと思う」と話す。

 本能寺の変の誘因は信長の変化。1月31日放送の第43回までで描かれて来たように信長が怪物化しなければ、光秀が討伐に向かうことはなかった。

 落合氏はこのドラマの信長について「脚本の池端俊策さんの『母の愛情の欠如がこういう人間像を生み出していく』という深い人間観察を感じさせる。そもそも信長には『好き』『嫌い』の2つの感情しかない。自分に敵対する者に情をかけることも理解できないし、自分が差し出す生首をみんなが喜んでくれると疑いもなく思っている」と指摘。さらに「戸惑う相手の気持ちを考慮できない。ある種病んでいるのだが、当時は心理学も進んでおらず、自分を客観視することもできない。一方で、本来持っているチャーミングな素顔もあるため、非常にアンビバレンツな人間になる。そういう複雑性と悲劇を染谷さんが大変深く理解して演じた」と語る。

 その信長を討つことになる光秀。「長かった光秀の旅もようやく終着する。思えば大変なことが多かった収録の日々の中で長谷川さんは最後まで踏ん張り、最終回に向けての演技には鬼気迫るものがあった」と強調。その上で「本能寺を迎える染谷さんの表情、そして、本能寺を決意する長谷川さんの表情。その2つの表情に全てが詰まっている。そんな印象を残す最終回になっている」と話した。

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2021年2月7日のニュース