渡辺王将3連勝!3連覇へ王手 1時間2分残し圧倒のスピード決着

[ 2021年2月1日 05:30 ]

スポニチ主催 第70期王将戦7番勝負第3局第2日 ( 2021年1月31日    栃木県大田原市・ホテル花月 )

3連勝で3連覇に王手をかけ与一和牛のしゃぶしゃぶ肉で祝福される渡辺王将
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 渡辺明王将(36)=名人、棋王=に永瀬拓矢王座(28)が初挑戦する第3局は、渡辺が115手で永瀬を下した。これで対戦成績は渡辺の3勝0敗。3期連続5期目の王将位に1勝と迫った。終了時間は午後5時25分。持ち時間8時間のうち、1時間2分を残しての快勝だった。

 まだ十分に日が高い午後3時30分。「これは(永瀬の)投了もある」と慌てて身支度を始めたのは第35、36期王将でもある正立会の中村修九段だ。盤を挟む彼我の差はすでに大きい。永瀬が頭を下げた瞬間も西の空には明るさが残っていた。「中盤の攻め方、形勢判断を含め、調べてみないと分からない将棋だった」。渡辺の述懐とは裏腹な大差が棋譜に刻まれた。

 歩のない将棋は負け将棋――。そんな格言は、この日に限って当てはまらない。第1日から歩損を甘受し、永瀬の駒台には最多で6枚の歩が並んだ一方、渡辺側はほとんどがゼロ。「午前中はさすがにまずくしてしまった」と振り返るものの、獲得した歩を遠慮せず相手陣に投入しながら細い攻めをつなぐ。渡辺得意の綱渡り戦法だ。

 永瀬を受けに専念させ「(65手目の)▲2五飛と浮いたところで形勢が良くなった」と手応えをつかむ。2九に眠っていた大駒がスペース十分の中盤に躍り出て、75手目には9五に回り込み、左辺からのじゅうたん攻撃に満を持して参戦。最終盤は永瀬王の逃避行を完全封鎖する大活躍だ。最強の飛び道具を自由自在に操る渡辺は、トップ棋士といえども止められない。「あの2五飛の局面で指し方が全く浮かびませんでした」と、粘りが身上の永瀬もお手上げ状態だった。

 手のつけられない強さを見せつけて開幕3連勝の渡辺は「まだ途中経過なので」とあくまで慎重だ。過去3度の防衛戦はいずれも最終局までもつれこみ、1度は失冠している。圧倒的優位な状態でも気を抜くわけにいかない。

 「次戦まで(2週間)間が空く。第4局が近くなってから作戦を練って臨みたいと思ってます」

 6日にはこちらも防衛を期す棋王戦第1局(対糸谷哲郎八段)が組まれ、11日の朝日杯オープン戦準決勝では昨夏の棋聖戦5番勝負で1勝3敗と苦杯をなめた藤井聡太2冠(18)と相まみえる。王将戦を含め究極のトリプルヘッダー。タフでなければ生き残れない。

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