「教場2」心も体もブレない木村拓哉「先週まで撮っていたかのよう」衣装サイズも前作と同じ 第3弾は?

[ 2021年1月4日 08:00 ]

“戦友”木村拓哉と再びタッグを組み「教場2」を演出した中江功監督(C)フジテレビ
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 俳優の木村拓哉(48)が主演を務めるフジテレビの新春スペシャルドラマ「教場2」は4日午後9時から「後編」が放送される。木村が警察学校の鬼教官を演じ、好評を博した昨年の新春ドラマに続く第2弾。前作に続いて演出を手掛けた同局の名匠・中江功監督(57)に“戦友”木村や第3弾の可能性について聞いた。

 <※以下、前編のネタバレ有>

 原作は「週刊文春ミステリーベスト10」第1位(2013年)、「このミステリーがすごい!」第2位(14年)を獲得し、13年にミステリー界を席巻した長岡弘樹氏の同名小説。警察学校を舞台に繰り広げられる人間模様を描き、新しい警察小説としてベストセラーに。シリーズ化され、累計90万部(紙+電子)を数える。

 昨年1月4、5日にフジテレビ開局60周年特別企画としてファン待望の映像化が実現。役者人生初となる木村の白髪姿や冷酷無比なキャラクターが新境地と話題を呼び、緊迫のストーリー展開も相まって前編15・3%、後編15・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、世帯)と高視聴率をマークした。

 木村が引き続き演じるのは、神奈川県警警察学校が誇る“最恐”の教官・風間公親(かざま・きみちか)。異様に鋭い観察眼を持つ風間は問題のある生徒たちの微細な変化を察知し、徹底的に追い詰め「君にはここを辞めてもらう」と次々に退校届を突き付ける。今回は前作から2年後。200期の生徒が入学してくる。

 中江監督は水曜劇場「若者のすべて」(1994年)「ギフト」(97年)、木曜劇場「眠れる森」(98年)、月9ドラマ「空から降る一億の星」(02年)「プライド」(04年)などの作品を手掛け、木村と共にテレビドラマ界の伝説を築いてきた。昨年の「教場」が「プライド」以来、久々16年ぶりとなる木村とのタッグ。木村の連続ドラマのシリーズ化はあるが、単発ドラマのシリーズ化は88年のドラマデビューから33年を誇るキャリアを通じて今回が初となった。

 前作、木村は「中江功監督という存在は自分にとっては教官に近い存在なので、再び共同作業ができることを非常にうれしく思います」とコメント。中江監督は「年齢は10ぐらい違いますが、全然、教官と生徒みたいな感じじゃなく、ある意味、一緒にやってきた同志というか、戦友みたいな感じはあります」と語っていた。

 続編は昨年9~11月に撮影し、1年ぶりのタッグ。今回の木村の凄さについて、中江監督は「全くブレてないですね。続編だと気合が入って前とは違ったことをやろうと思いがちなんですが、本人も変わらず風間の冷血さを表現したい、と。第1弾の撮影の後、『グランメゾン東京』(TBS)、『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日)がありましたが、先週まで『教場』を撮っていたかのように、何も変わらず『教場2』の現場に入ってきましたから。衣装のサイズも全く変わらずでしたね」と明かした。

 3日に放送された前編は、工藤阿須加(28)演じる198期の教え子・宮坂定(さだむ)が交通整理中に車にはねられ、殉職する衝撃の展開。「そこも、風間の感情は一切、出さずにいこう、と」。悲しみに暮れる同期(川口春奈、味方良介、村井良大、大島優子、三浦翔平)たちに、風間は「君たちは警察官失格だな。今、この時に街で何も起きていないとでも思っているのか。職務で弔え!」――。そして、天を仰いだ。

 「天を仰いだのは、彼のアイデア。風間が感情をあらわにしたのは、せいぜい、ここぐらい」。昨年4月に前作のプロデューサー・西坂瑞城さん(享年43)が急逝したことも「シンクロしたのかもしれません」と振り返った。

 オンエアを前に、木村は「中江監督がまた予定調和の芝居が大嫌いな、志の高い方ですから、そういう芝居をした時には、何度も『もう1回』とNGを出されますし。でも、それは(生徒役の)彼、彼女の『もう1回』ではなくて、そのシーンにおける『もう1回』で。僕も、彼ら彼女らに『あなたの“もう1回”ではなくて、このシーンの“もう1回”だから』ということを生徒役の皆さんに伝えて、みんなで乗り越えていきました。1シーンで140カット撮る時もあるんですけど、どのカットも妥協のないライブを収録してる感じでしたね」とコメント。

 中江監督に水を向けると「どうしても欲しい画(絵)は撮りたいし、編集室で後悔したくないので、カット数が多くなっていることはあると思います。たくさん撮って『使わないよね』と言われたりもしますが、短くてもほぼ全部、使っているはずです。ま、使ったか使わないかの勝負じゃないんですけど(笑)」。コロナ禍の撮影ながら、今回も粘りに粘った。

 今夜4日は、さらに濃密な「後編」。中江監督は「視聴者の皆さんには、エンドロールになっても気を抜かれることなく、最後までご覧いただけると幸いです」と呼び掛けた。

 気は早いが、最後に「教場3」について尋ねると「コンテンツとしては、学園ものと犯罪ミステリーの要素がミックスされていて、面白いですよね。ただ、原作のエピソードはだいぶ使いましたし、警察学校の中で常軌を逸した事件もそうそう描けない。もし第3弾を作るとなると、警察学校の外の話とか、新しい展開と考えないといけないと思います。(脚本の)君塚(良一)さんは『ネタは、もう何となくありますよ』とおっしゃっていました。さすがは『踊る大捜査線』シリーズで、あれだけのエピソードをお書きになった方ですよね。次回への伏線は張ってみましたが、どうなるでしょうね。木村くんとは『次やるとしたら、何する?』みたいな話は雑談程度にしました」

 前作のインタビュー時、木村との次回作として「実は随分前に一度、企画を練ったこともあったんですが、田村正和さんみたいな大人のラブストーリーに挑戦してほしいと思っています。切なく、枯れた男の感じでやりたいんです」と構想を明かしたが「彼と大人のラブストーリーを作るとしたら、50(歳)超えした時がいいタイミングかもしれません。言葉で『好き』だと言ったり、言われたりしないような話がいいですね。ただ、今は『教場2』を終えて、抜け殻(笑)。そのぐらい、気合が入っていたんですね。もちろん『教場3』も機会があればやりたいですが、とにかく大変な作品なので、もう一度、一から向き合うには心と身体の準備が必要になると思います。簡単に『やります!』とは言えないぐらい、心も身体も燃焼しました」

 木村をはじめとしたキャスト、中江監督をはじめとしたスタッフの“完全燃焼”に敬意を表しながら、やはり第3弾も期待したい。

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