渡辺王将 自身初の3連覇へ 「四天王」永瀬王座と“初対局”「新しい7番勝負になる」

[ 2021年1月4日 05:30 ]

渡辺王将は永瀬王座との対戦が決まって以降、準備を重ねてきた
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 節目の第70期となる将棋の王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負は10日、静岡県掛川市の掛川城二の丸茶室で開幕する。自身初の3連覇を目指す渡辺明王将(36)に対し、初の挑戦者となった永瀬拓矢王座(28)はどう戦うのか。今期も目の離せないシリーズだ。 

 充実感と危機感と。王将戦開幕を控えたディフェンディングチャンピオンの表情には柔和と緊張が入り交じっていた。

 昨年8月に初の名人位を獲得した渡辺。その前月には、あの藤井聡太現2冠(18)に棋聖位を奪われたものの、間髪を入れず3冠に復帰した。名実ともに棋界の「顔」の地位を守った第一人者は「その後は対局がめっきり減って、取材を受けたりするのがメインの日々でした」と苦笑交じりに振り返る。

 対局が減った――というのは他でもない。名人となったことで、月1度の順位戦出場義務が消えたからだ。「名人であることを実感する機会は多かったんですが…」。8月14、15日の名人戦決着局以降の対局は4カ月半でわずか9局。「順位戦があれば月に1回、同じようなランクの相手に持ち時間6時間で指すわけで、それに向けて調子を上げていく。そういう意味ではコンディションの維持は難しくなりましたね」と痛しかゆしの微妙な状態を説明した。

 それでも年明け初の大舞台は目前に迫っている。昨年11月30日に挑戦者が永瀬王座に決まって以降は準備にいそしんだ。「(永瀬は)オーソドックスというか居飛車党の中でも勝負を急がないタイプ」と印象を語る。過去には18年に棋王戦での対戦を含め10勝3敗と圧倒しているものの、直近の対局は1年半も前。「永瀬さんの活躍度合いがその時と違います。そういう意味では王将戦は新しい7番勝負になると思う」と表情を引き締めた。

 「四天王」の一角に食い込んだチャレンジャーを警戒してし過ぎることはない。「充実している永瀬さんと戦うことで、今後の自分の課題も見つかるはずですから」。中身の濃い戦いとなることはまず間違いない。

 ◆渡辺 明(わたなべ・あきら)1984年(昭59)4月23日生まれ、東京都出身の36歳。2000年に四段昇段を果たし、史上4人目の中学生棋士に。04年に初タイトルとなる竜王を獲得以降、王将戦4期を含む26期の戴冠を誇る。昨年は名人戦初挑戦で初奪取。王将、名人、棋王の3冠。

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