藤井棋聖 竜王戦挑戦消えた 決勝トーナメント3回戦 千日手指し直し対局で敗退

[ 2020年7月25日 05:30 ]

竜王戦決勝トーナメント3回戦で丸山九段(右)に敗れた藤井棋聖(日本将棋連盟提供)
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 将棋の藤井聡太棋聖(18)は24日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた竜王戦決勝トーナメント3回戦で丸山忠久九段(49)に千日手指し直しの末116手で敗れ、敗退が決まった。これで高校生のうちに獲得できるタイトルは棋聖に続き、挑戦中の王位戦とリーグ戦に出場する王将戦に絞られた。

 午前10時に始まった対局は先手・丸山の誘導で61手目に千日手が成立。自身7度目の体験だ。しかし、この時点で藤井の持ち時間は2時間半ものビハインド。有利なはずの先手となった指し直し局ではこのギャップが常に付きまとい、一時は差が3時間ほどに広がる。「少し早い段階で形勢を損ね、苦しい展開が続いた」。中盤で早くも1分将棋に追い込まれ、一方の丸山の残り時間は1時間17分。絶望的なハンデを強いられた。

 苦心の指し回しで均衡を維持し、ハナ差のリードを保つ時間帯もあったものの「常に押されているのかなという気がしていました」。名人2期、棋王1期を誇る「羽生世代」の実力者相手に気持ちがはやったのか、角を敵陣に成り捨てる勝負手を放った局面から徐々に差が広がり始めた。

 劣勢となった終盤は一見悪手に見える銀での王手。丸山が対応を誤るとあっという間に逆転というワナを仕掛ける場面もあった。だが相手は歴戦の雄。その仕掛けをあっさり見抜かれ、即詰みとなった午後11時31分に頭を下げた。これで棋聖戦、王位戦に続く今年3つ目のタイトル戦出場が消え、高校生での新たなタイトル挑戦は挑戦者決定リーグに出場する王将戦のみとなった。

 竜王戦は予選に相当するランキング戦では無敵の20勝無敗を誇るものの、決勝トーナメントでは昨年の準々決勝進出が最高成績。初めて3回戦スタートとなった今回は上位進出の可能性をうかがわせながらも無念の初戦敗退だ。棋聖位獲得後は初黒星(未放映の収録対局を除く)。「残念ですがしっかり反省してまた来年頑張りたい」と次回の反撃を期していた。 (我満 晴朗)

 ▽藤井と竜王戦 プロデビュー戦となった16年12月(17年度)の6組ランキング戦で、加藤一二三・九段に勝利。同組で優勝し、公式戦29連勝で迎えた決勝トーナメント(T)2回戦で佐々木勇気五段に敗れた。翌18年も5組で決勝進出し、2期連続昇級を決めて七段に昇段。そのまま優勝し、決勝T2回戦で敗退した。19年は4組で史上初めて初出場から3期連続優勝。決勝T4回戦で、その後竜王を奪取する豊島将之名人に敗れた。今期は3組で史上初の4期連続優勝を達成している(肩書は当時)。

 ▼竜王戦 将棋の8タイトルの一つで、前身の九段戦、十段戦を経て1987年に第1期を開催。優勝賞金は最高金額の4400万円。参加棋士を1~6組に振り分けトーナメントを行い、各組の上位者11人で決勝トーナメントを実施し優勝者が挑戦権を得る。今期の挑戦者は10~12月に豊島将之竜王(30)との7番勝負に臨む。

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