都倉俊一氏が明かす「ひと夏の経験」秘話 千家和也さんの歌詞が「山口百恵伝説を生んだ」

[ 2019年6月28日 08:30 ]

盟友をしのぶ作曲家の都倉俊一氏
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 1970年代の歌謡界をリードした作詞家の千家和也(せんけ・かずや、本名村越英文=むらこし・ひでふみ)さんが13日に73歳で死去したと発表されて一夜明けた27日、山口百恵さんのヒット曲「ひと夏の経験」(74年)でタッグを組んだ作曲家の都倉俊一さん(71)が、当時の秘話を明かし人柄をしのんだ。

 スポニチ本紙の取材に文書で応じ、千家さんと「ひと夏の経験」を打ち合わせした際のやりとりを披露。

 「ある日新曲の打ち合わせの時、詞を見せられた」とし「“あなたに 女の子の一番 大切なものをあげるわ”という出だしである。“どうかな、意味深すぎるかな…”と多少不安顔である。“いいんじゃない、思い切ってやってみよう”スタッフも大方賛成であった。伝説の山口百恵の誕生した瞬間である」と振り返った。

 2人は、百恵さんのデビュー当初を中心に9曲で作詞作曲を担当。「ひと夏の経験」はタッグ5曲目だった。2曲目の「青い果実」(73年)は「あなたが望むなら 私何をされてもいいわ」の歌詞で世間を驚かせたが、都倉さんは、当時の百恵さんについて「なかなか大ヒットにならず、スタッフ一同で試行錯誤していた」と表現。「青い果実」を上回る大胆な歌詞が百恵さんを飛躍させると信じ、千家さんの歌詞に賛成した。

 ポップスから演歌まで幅広いヒット曲を手掛けた盟友の死を「また一人、言葉を大切に生きてきた詩人がなくなった」と惜しみつつ「作品の何かが後世のソングライターの心に響き、心が引き継がれることを願うばかり」と期待した。

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