阪神・岡田監督 小幡の代走起用理由は… 適材適所の用兵大当たりの1点に「すごく大きいよな」

[ 2023年5月12日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神2―1ヤクルト ( 2023年5月11日    甲子園 )

<神・ヤ>8回、糸原の遊ゴロ野選で三走・小幡が生還(撮影・大森 寛明)
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 阪神は11日のヤクルト戦(甲子園)に2―1で競り勝った。1―1の同点で迎えた8回の攻撃で岡田彰布監督(65)が打った勝負手が、ズバリ的中。1死一塁から捕手の一塁走者・坂本に代走・小幡を送り、1死二、三塁では代打・糸原を起用して、しぶとく決勝点をもぎ取った。これでチームは12球団唯一となる開幕からの「3連敗なし」を6度守り、最高の流れで、きょう12日から首位・DeNAを本拠地に迎え撃つ。

 岡田監督が勝負手を打った。同点の8回1死、二塁へ進めるバントを失敗して一塁に残った坂本に代えて、代走・小幡を送った。

 「ずっと抑えていたキャッチャーは普通は代えないけど、まあ勝負でね。残っている中で、足が速いのは小幡だったので」

 起用の効果はすぐに表れた。木浪の三塁手のグラブをはじく打球が転々とする間に、三塁へ到達。1死二、三塁となって間髪入れず代打をコール。ここは大きいのはいらない。「前に転がせば何とかなると思ったんでね」と、原口でも渡辺諒でもなく糸原を告げた。

 この直後、ベンチの思惑と選手の力が最高の形で結実する。糸原が気持ちの乗り移ったようなスイングで遊ゴロを放つ。それに呼応し、小幡はサイン通りに、ギャンブルスタートで本塁へ突入した。ヘッドスライディング。内山のタッチを間一髪でかいくぐった。球審・山村の手が横に広がる。4万978人の歓声がマンモスに響く。決勝点になった。

 「走」のヒーローは「あそこはもう頭しかないと思って。(本塁突入の練習をした)キャンプの成果が出て、ホームベースを触る位置もすごく良かったのかなと思う」とクールな表情のまま、言葉に熱を持たせた。開幕遊撃をつかみながら、木浪にポジションを追いやられ、1カ月以上もスタメンから遠ざかる中で仕事を果たした。「打」のヒーローも晴れやかだ。「三振だけはダメな場面。バットに当てることだけを考えた。ヒーローインタビューは久しぶり。やっぱりいい光景だなと思った」と糸原。犠飛や内野ゴロで1点を奪うような打撃に優れることから、「事起こし請負人」の異名を取る。本領を発揮する値千金の内野ゴロだった。

 2試合連続零敗で迎えた一戦は、序盤に残塁の山を築いた。負のムードが漂う苦しい流れに負けず、泥くさく1点をもぎとった。適材適所の用兵が当たった指揮官も喜びを隠さない。「こういうゲームをしのいだっていうのはすごく大きいよな」。控えの活躍をエネルギーにして、きょう12日から、2ゲーム差で追う首位・DeNAを甲子園で迎え撃つ。12球団で唯一3連敗を喫していないこの力は、本物だ。(倉世古 洋平)

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