片岡保幸氏が侍ジャパンに金言　盗塁は一発で成功させよ「セオリーを考えずに準備しておく」

09年、韓国との決勝戦の7回、二盗を決める片岡
Photo By 共同

　3月の第5回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）で09年の第2回大会以来、14年ぶりに世界一を狙う侍ジャパン。再び頂点に立つためには何が必要なのか。09年の世界一連覇に貢献した片岡保幸氏（40）が、スポニチ本紙を通じて侍たちに金言を贈った。

　西武時代に4度の盗塁王に輝いた片岡氏は09年大会で最多タイの4盗塁をマークした。国際大会での盗塁の重要性について「サインが出た時に一発で決められるか。そのためには投手の癖などデータが少ない中でベンチから観察しておくことが一番大事」と話す。

　イチローの延長10回決勝打で韓国を倒した決勝戦。1―1の7回、先頭打者として左前打で出塁すると、1番イチローの2球目に完璧なスタートから二塁を陥れた。「国際大会ではできるだけ早く走ってあげたい。1球目ボールの後でサインが出た。ベンチで見ていて走れる自信があった」と振り返る。イチローのバント安打で無死一、三塁となり、中島の左前適時打で一時勝ち越しのホームを踏んだ。機動力を使った侍ジャパンらしい1点の取り方だった。

　片岡氏は「クイックやけん制は日本の投手の方が上手なので、国際大会の方が走りやすい」と断言する。その上で「いつサインが出てもいいようにセオリーを考えずに準備しておくことが大切」と説く。無死一塁、打者イチローで単独スチールは相手の頭になかったかもしれない。13年大会の台湾戦では9回2死一塁で鳥谷が意表を突く二盗を決め、井端の同点打を呼んだ。

　今回の侍ジャパンは史上最強の重量打線とも言われるが「控え選手の力がそれ以上に重要だと思う。接戦の時に周東というカードをどこで切るか。ベンチワークに注目したい」と話す。一つの盗塁が試合の局面を大きく動かすことは、WBCの歴史が証明している。

　◇片岡　保幸（かたおか・やすゆき）現役時代の登録名は易之、治大。1983年（昭58）2月17日生まれ、千葉県出身の40歳。宇都宮学園から東京ガスを経て04年ドラフト3巡目で西武に入団。07年から4年連続盗塁王。代表歴は09年WBC。14～17年は巨人でプレーした。通算成績は1208試合で打率.266、66本塁打、389打点、320盗塁。

　☆09年　優勝　原辰徳監督が監督を務め、イチローを筆頭に松坂、城島、福留、岩村とメジャーリーガー5人が出場。敗者復活方式を採用した1、2次ラウンドを勝ち抜き4強入りすると、準決勝は米国相手に松坂―田中―ダルビッシュの継投で勝利。決勝は韓国と同大会5度目の対戦となり、延長10回にイチローが決勝の2点打。5―3で連覇を達成した。MVPは2大会連続で松坂が受賞。また、原監督の提案により同大会から「侍ジャパン」の愛称が誕生した。