「父親代わり」の恩師へ 阪神・西純が退任の創志学園・長沢監督に感謝の言葉

[ 2022年8月8日 05:00 ]

<第100回全国高校野球選手権大会第5日 1回戦・創成館・創志学園>創成館を破り、西純矢(左)に声を掛ける創志学園・長沢宏行監督
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 4年ぶりに夏の甲子園に出場した創志学園(岡山)は、7日の1回戦で八戸学院光星(青森)に敗戦。2010年の野球部創部から監督を務め、今夏限りで退任する長沢宏行監督に、創志学園OBの阪神・西純は灼熱の鳴尾浜球場で感謝の言葉を口にした。

 「最後、甲子園で終われたのがよかったと、そう思います。いろいろ大変だったと思うので、しっかり休んでもらいたいなと。(送りたい言葉は)『お疲れ様でした』」

 中学3年の秋、「君ならプロにいけるから、ぜひうちに」と長沢監督に声をかけられたのが、入学のきっかけの一つだ。高校1年の秋に父・雅和さんが病で亡くなった時も、指揮官の存在は大きかった。「父親代わりとして接してもらって。本当に感謝しかないです」。そんな恩師は「人間性の部分を一番大事にされている方。野球の技術より本当に大事だと思う。そこを一番学びました」と、心身両面で背中を押してくれた。

 あの夏もそうだった。4年前、2年生エースとして迎えた甲子園。長沢監督いわく「天国のお父さんに向けて」見せていた派手なガッツポーズは、2回戦・下関国際戦で審判から注意を受けたこともあって議論の的となった。

 「批判されることも多かったですけど、チーム全体で『西を1人にするな』という感じで、みんなで助けてくれて」

 甲子園が終わった後、西純の中で印象に残っている出来事がある。「学校に届いた手紙を見せられたことがあります」。長沢監督から見せられたのは、自分を批判している人からの手紙と、応援してくれている人からの手紙。「こういう意見もあるけど、応援してくれる人もいるから」と、“悪評”ばかりじゃないことを気づかせてもらった出来事だった。

 3年目の今季は前半戦にプロ初勝利や初完投を記録し、今は再びチャンスをつかむべく2軍で鍛錬を積み重ねる日々を過ごす。若き右腕は「監督だけじゃなく、自分に関わってくれている人みんなにそういう感じだと思う」とした上で、「プレーでしか恩返しはできないと思うので、少しでも長くプロ野球でやってけるように、活躍している姿を見せられるように」と誓った。(阪井 日向)

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2022年8月8日のニュース