近江・山田 斎藤佑樹、田中将大に並ぶ甲子園8勝目「絶好調や!」の暗示もはまって3季連続白星

[ 2022年8月8日 04:04 ]

第104回全国高校野球選手権第2日・1回戦   近江8-2鳴門 ( 2022年8月7日    甲子園 )

<近江・鳴門>初回1死一塁、近江・山田は鳴門・三浦を空振り三振に抑え雄叫びを上げる(撮影・後藤 大輝)
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 1回戦4試合が行われ、優勝候補の一角に挙がる今春選抜準優勝の近江が鳴門に8―2で快勝。今秋ドラフト上位候補に挙がるエース右腕の山田陽翔(はると=3年)が8回4安打2失点13奪三振と好投した。滋賀勢初の全国制覇へ勢いづく白星だ。

 雄叫びとともに勝利を決めた。最後は右翼に回った近江のエース山田陽翔(3年)が芝生の上で拳を握りしめた。仲間と力を合わせての逆転勝利。最後の夏、最高のスタートを切った。

 「まずは一つ勝ててホッとした。序盤の失点でチームに迷惑をかけたけど、勝つことができて良かった」

 味方の失策も絡み、2回までに2失点したが、尻上がりに調子を上げた。8回を4安打2失点。初戦突破は、山田にとっても記念の1勝となった。2年夏に4強、3年春に準優勝と3季連続で白星を挙げ、甲子園8勝目。早実時代の斎藤佑樹(元日本ハム)、ヤンキースでも活躍した楽天・田中将大の駒大苫小牧時代の甲子園勝利数に並んだ。

 圧巻だったのは7回だ。打線が加点に成功して3点リードとなった流れに乗った。7番・豊田を3球で空振り三振に取ると、続く冨田、そして代打・斎藤とすべて3球で3連続空振り三振。甲子園では5度目の2桁奪三振で、自己最多の13個。今大会最速の148キロをスコアボードに表示した。

 「守りにはミスが付きものだけど、リズムも合っていなかったので、打たせるよりは三振とギアを上げた。目の前の打者に集中できた結果だと思う」

 試合前、待機していた一塁側室内で「絶好調や!」の山田の声が響いた。多賀章仁監督も「そうなんか」と反応。初戦に向けて士気も高めた。「本当はそこまで調子は良くなかったけど、自分が発言することで暗示もかけたかった」と中学時代から愛用する勝負パンツ着用とともに、勝利にこだわり続けた。大会初日の京都国際のサヨナラ負けもテレビで見ていた。「甲子園は何が起こるか分からない」。球友・森下瑠大の「頑張ってくれ」のメッセージに応える決意だ。

 選抜では決勝で大阪桐蔭に敗れて準優勝。グラブの色を当時の赤系統から、今回はイエローに変更した。「唯一無二の目標」と言い続ける全国制覇のためのモデルチェンジ。山田は頂点しか見ていない。(鈴木 光)

 《個人最多勝はPL・桑田の20勝》48年の学制改革後の甲子園個人最多勝利は桑田真澄(PL学園)の20勝(3敗)。石井毅(箕島)14勝、荒木大輔(早実)12勝、松坂大輔(横浜)、島袋洋奨(興南)11勝ら12人が2桁勝利をマークしている。最近では平沼翔太(敦賀気比)が15年夏に10勝に到達した。なお、戦前の最多勝利は中京商の吉田正男で22勝。

 ◇山田 陽翔(やまだ・はると)2004年(平16)5月9日生まれ、滋賀県栗東市出身の18歳。近江では1年夏の独自大会からベンチ入りし、秋からエース。2年夏は甲子園4強。3年春は甲子園準優勝。父・斉さんは92年夏に東邦(愛知)で4強。1メートル75、78キロ。右投げ右打ち。 

 ▼オリックス・早川大輔スカウト 高校生ではトップクラス。躍動感があったし、これまででも一番の投球だったと思う。立ち上がりはストレートを狙われていたけど、うまく打者を見て、変化球を使っていた。

 ▼広島・鞘師智也スカウト 野球をよく知っていますし、投球時はギアの入れ替えもできる器用さとタフさも兼ね備えています。プロ向きな選手だと思います。

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