「9回、ピッチャー、岩瀬」愛工大名電の鉄腕ジュニアが聖地で父譲りの火消し 盛り上げ役の素顔も

[ 2022年8月8日 04:06 ]

第104回全国高校野球選手権第2日・1回戦   愛工大名電14-2星稜 ( 2022年8月7日    甲子園 )

愛工大名電の右腕・岩瀬法樹(左)と中日時代の父・仁紀氏
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 愛工大名電、大量12点リードの9回。場内アナウンスが流れた瞬間、聖地がどよめきに包まれた。「岩瀬君が入り、ピッチャー」

 岩瀬法樹。父の仁紀氏は、中日で歴代最多1002試合登板、同407セーブを記録した日本球界のレジェンドだ。高校時代には出場経験がなくても、76試合で30セーブを挙げた甲子園でその面影をはっきりと残す長男が、しかも“守護神”として9回から救援したのだから、無理もない。

 そんな観客の期待に「そこは少し意識していて、必ず抑えて勝ちたいと思いました」と身震いした。7球で簡単に2死を奪うと、見せ場は3人目。初球から3球連続で自己最速タイの144キロを計測した。結果的に四球を与えた6球目にも144キロ。父から「甲子園のアウトローは球速が出るよ」と授かった“金言”の通り、左右は違っても背番号13をほうふつとさせる投球フォームから6球中4球を右打者の外角低めに投げ込んだ。最後の打者を中飛に打ち取り勝利のハイタッチ。聖地初登板を無失点で飾り「こういう場面でいつも投げていたことを改めて尊敬しました」と偉大な父の足跡を実感した。

 普段はおとなしい性格だというが、素顔は盛り上げ役だ。野球部では夏の愛知大会直前とクリスマスに寮で決起集会がある。2年春からその余興のために、背番号12の今福孝介(3年)と漫才コンビ「ツーボール」を結成。今夏は移動のバスが暑いなどの“名電あるある”ネタを披露した。大爆笑をかっさらった2年連続での聖地出場は、偶然ではない。

 父と同じく得意とするスライダーはすっぽ抜けたボールもあったため“一時封印”も、次がある。「いつも通りのピッチングができた。今日のように相手バッターを絶対に抑えて、次も勝ちたいと思います」。至高のクローザーの血を継ぐサラブレッドが、OBの工藤公康やイチローも成し得なかった夏の頂点へ挑む。(北野 将市)

 ◇岩瀬 法樹(いわせ・のりき)2004年(平16)4月6日生まれ、愛知県名古屋市出身の18歳。小4からTMジュニアで野球を始め、城山中では軟式野球部に所属。愛工大名電では3年春からベンチ入り。最速144キロに球種は3種類のスライダーとチェンジアップを操る。1メートル68、72キロ。右投げ右打ち。

 ◇岩瀬 仁紀(いわせ・ひとき)1974年(昭49)11月10日生まれ、愛知県出身の47歳。西尾東では甲子園出場経験なし。愛知大、NTT東海を経て98年ドラフト2位で中日入り。1年目から救援で活躍し、5度の最多セーブと3度の最優秀中継ぎ投手を獲得。04、08年五輪日本代表。18年に現役引退。通算1002試合登板と407セーブはプロ野球記録。1メートル81、84キロ(現役当時)。左投げ左打ち。

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