東海大札幌・渡部雄大 知らぬ間にノーノ―達成「“完封だぁ!”と思いながら喜んだんですけど」

[ 2022年6月8日 05:30 ]

第71回全日本大学野球選手権第2日・1回戦   東海大札幌2―0環太平洋大 ( 2022年6月7日    神宮 )

環太平洋大戦でノーヒットノーランを達成し喜ぶ東海大札幌・渡部
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 1回戦7試合と2回戦1試合が行われた。東海大札幌の渡部雄大投手(4年)は環太平洋大との1回戦で大会史上7人目の無安打無得点試合を達成。最速144キロながら3年秋終了時点でリーグ戦1勝止まりで無名だった左腕が全国の舞台で躍動し、ドラフト候補に急浮上した。佛教大の最速143キロ右腕・山本奨人投手(3年)は7回途中まで完全投球の快投を披露した。

 神宮の空から落ちる雨と噴き出す汗で渡部の端正なマスクは濡れていた。記録員がスコアブックに環太平洋大の安打を示す赤色の線を引くことなく迎えた9回2死。打者・市原のカウントは3―2だった。最後は135キロの内角直球で見逃し三振を奪い、ガッツポーズ。大会史上7人目の無安打無得点にスタンドも沸く。だが本人は全く気付いてなかった。

 「終わって(インタビューで)しゃべるまで全然、知らなくて。自分は“完封だぁ!”と思いながら喜んだんですけど、ノーヒットノーランでした」

 名前は「雄大」。同じ左腕で19年9月14日の阪神戦で無安打無得点を達成し、今季も5月6日の阪神戦で10回2死まで完全投球を続けた中日・大野雄と同じ名だ。切れのある直球と100キロ台のカーブなど7球種を操り、序盤から好投。失策などで1死二塁とされた5回も後続を斬った。理想の「打者が球速以上のスピードを感じる投球」を大舞台で体現し、この日は140キロに届かない直球で何度も空振りを奪った。

 法大時代の88年大会で無安打無得点を達成している阪神・葛西稔スカウトは投球を視察し「達成者は少ないですよね。凄い」と祝福し「チェック選手の1人として見ていきたい」と評価。無名左腕が一気に今秋ドラフトの指名候補に浮上した。

 18年大会前は未成年部員の飲酒が発覚して出場を辞退。不祥事直後に就任した日下部憲和監督は70歳の誕生日で渡部から記念球を贈られ「人生でこんなに素晴らしいことはない」と喜んだ。急成長する背番号21は、8日の佛教大戦もチームのために腕を振る。(柳内 遼平)

 ◇渡部 雄大(わたなべ・ゆうだい)2000年(平12)4月4日生まれ、北海道函館市出身の22歳。小1から野球を始める。中学時代は函館港西リトルシニアに所属。東海大甲府では甲子園出場なし。直球の最速は144キロで変化球はツーシーム、カーブ、スライダー、カット、チェンジアップ、フォーク。1メートル78、80キロ。左投げ左打ち。

 ▼環太平洋大・野村昭彦監督(無安打に終わり)打者が(ボール球を)追いかけてしまった。四球をもらったところで何かしら(采配で)できなかったかなと思う。

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