西武・山川 チームで中西以来の3度目リーグ10号一番乗り 打てば8勝全勝“不敗神話”V弾

[ 2022年5月4日 05:30 ]

パ・リーグ   西武4―2ロッテ ( 2022年5月3日    ベルーナD )

<西・ロ>3回、逆転2ランを放つ山川(撮影・尾崎 有希)
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 西武・山川穂高内野手(30)が3日、ロッテ戦の3回に左翼ポール際に決勝2ランを運び、パ・リーグ一番乗りで10号に到達。本塁打王に輝いた18、19年に続く3度目のリーグ最速到達は「怪童」の異名を取った中西太以来、球団2人目の快挙となった。故障で離脱していた時期もあり、出場17試合で10本塁打を量産中。主砲が本塁打を放った8試合は全勝と「不敗神話」も継続させたチームは勝率5割に復帰した。

漫画のような「秘打」。山川がコマのように軸足で回転し、見送れば完全にボールの内角球を捉えた。「反応でした。狙ってできることじゃない」。1点を追う3回1死一塁でフルカウントから体の近くに投じられた小島の直球をファウルにせずスタンドへ。そこには技術が詰まっている。

 右足を軸に回転しバットのヘッドを加速させたが、その直前、内角打ちの天才と称される巨人・坂本のように左肘を先行して出し、いわゆる「左肘を抜く」動作をした。懐にスペースができる。あとは球を呼び込み、腰の回転で飛ばすだけだ。

 「反応してくれた今日の僕に感謝。練習でもできない打ち方」と山川は言うが努力を重ねて増やした「引き出し」。辻監督も「(ファウルに)切れないように打つんだから大したもん」と驚く決勝の10号2ランだ。今季は右太腿裏の肉離れで14試合を欠場したため、この日が出場17試合目で59打数21安打だが、約半数の10本が本塁打。驚異の本塁打率だ。

 この日は「反応」だったが、意図的に力を抜いて鋭い回転運動で打球を飛ばすことができれば確実性も増す。以前、人気野球漫画「ドカベン」について「つまようじ食ってる人?あ、葉っぱか」と岩鬼のことを語っていたが、この日の打撃は殿馬の秘打「白鳥の湖」に通じる。漫画のように何度も高速回転はしないが、遠心力で遠くへ飛ばす打法。特技がピアノという共通点もある殿馬のような打撃をものにしつつある。

 「怪童」と呼ばれ西鉄黄金期を支えた中西太以来、球団2人目の3度目のリーグ最速10号だ。腰を柔らかく使ってピンポン球のように打球を飛ばした大打者で通算244本塁打で5度の本塁打王。山川の打撃とも重なる。

 打率・356だが「率を狙うよりしっかりホームランを。攻めたい」と言う。一発を放てば8戦全勝。自身の役割は分かっている。 (神田 佑)

 ≪最多は野村の6度≫山川(西)が18、19年の両リーグ最速10号に次ぐ、自身3度目のリーグ10号一番乗り。パ10号一番乗りを3度以上は野村克也(南海)の6度を筆頭に史上8人目で、ドラフト入団選手では山川が初めて。チームでは西鉄時代の中西太が53、55、56年と3度マークして以来66年ぶり2人目となった。また、この日は出場17試合目。自身の10号到達ペースとしては、19年の出場21試合目を上回る最速だ。

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