伊東勤氏 新人捕手勝負の分かれ目…ロッテ・松川は石川のシンカー最大に生かす

[ 2022年3月26日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ4―0楽天 ( 2022年3月25日    楽天生命 )

<楽・ロ>7回、ピンチを脱して先発・石川と笑顔を見せる捕手・松川(撮影・白鳥 佳樹)
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 【伊東勤 視点】ドラフト制以降では史上初となる両軍の新人捕手が開幕マスクをかぶった歴史的な一戦。高卒新人で抜てきされたロッテの松川虎生捕手(18)は石川、楽天の安田悠馬捕手(22)は則本とバッテリーを組んだ。結果はロッテの4―0勝利。勝敗の分岐点はどこだったのか、捕手として西武黄金期を支えたスポニチ本紙評論家の伊東勤氏(59)が解説した。

 ロッテ・松川、安田ともに1軍でやっていける力はある。捕手の構え、しぐさ、投手へのアドバイスなど2人とも落ち着いて見ていられた。

 松川は石川のよさを引き出していた。高校時代は見たこともなかったであろう石川の決め球、低めに落ちるシンカーを出し惜しみすることなく使っていった。前半5回までに15個のアウトのうち、内野ゴロが10個。これは石川の状態がいいときのバロメーター。低めにシンカーが決まると少しスピードが落ちてきた直球も速く見える。ロッテバッテリーは完全に楽天打線を翻弄(ほんろう)していた。

 則本―安田も悪くなかったが、左打者の内角攻めにこだわり崩れてしまった。点を取られた6回1死、平沢の打席。カウント2―2から直球で内角をズバッと攻めたがこれがボールの判定。結果的に四球となり、続く高部のバント安打で一、二塁。走者がたまったところで内角に弱点があるマーティンの懐を直球で攻めたが、死球となってピンチを広げてしまった。おそらく楽天ベンチの決め事として「左打者の内角を攻める」という指示があったのだと思う。安田もその指示に忠実に従ってリードしたが、審判の判定が内角に厳しかったこともあり致命傷になってしまった。

 松川にフリーハンドを与えて石川のいいところを引き出させたロッテと、ロッテ打線の弱点を突くことに主眼を置き、安田に配球で“内角攻め”の制約を課したと思われる楽天。その違いが勝負の分かれ目になった。

 松川はゲレーロ、益田の救援陣もうまくリードし、零封勝ち。過信してはいけないが“この先やっていけるな”という自信を得た開幕戦になったと思う。安田も試合を重ねればもっとよくなる。1年間、ルーキー捕手2人の成長を注目したい。(スポニチ本紙評論家)

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2022年3月26日のニュース