引退の松坂 語ったファンへの思い「温かい言葉に何度も奮い立たされました。感謝してもしきれません」

[ 2021年7月8日 05:30 ]

現役引退を発表した松坂
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 西武は7日、松坂大輔投手(40)の今季限りでの現役引退を正式に発表した。頸椎(けいつい)手術からの復帰を懸命に目指していた松坂はスポニチ本紙の電話取材に答え、ファンへの感謝の思いを語った。レッドソックスなど大リーグでも活躍し、日米通算170勝を挙げた「平成の怪物」は野球人生を支えてくれたファンの激励を胸に、ユニホームを脱ぐ。

 引退を決めた松坂の率直な、正直な思いだった。甲子園春夏連覇を成し遂げた98年の横浜高時代から20年以上。怪物のそばにはファンがいた。常に熱い声援を送ってくれた。それは、故障から復帰を目指すつらく苦しい時期により強く実感した。

 「ファンの方々の声援に力をもらいましたし、リハビリの間に掛けていただいた温かい言葉に何度もマウンドに立ちたいと奮い立たされました。感謝してもしきれません。ありがとうございました」

 昨年7月5日に頸椎を手術。しかし、右手中指の感覚がいっこうに戻らない。ブルペン投球でボールが右打者の頭部付近に抜けたことすら分からなかった。松坂は「恐怖」を感じた。日常生活にも支障がある。それでも…。もう一度、ファンの前でマウンドに立ちたい。その思いだけが松坂を支えていたが、手術からちょうど1年がたった5日、渡辺久信GMに今季限りで引退する意向を伝えた。

 渡辺GMは「復帰を目指していただろうし、悔しさがにじみ出ていた。厳しいリハビリに耐えながらここまでやってきた。(精神的にも)つらそうだった」と話す。特に「ライオンズファンに自身の姿を見せることができていない日が続き、体調面もなかなか向上せず、ずっと苦しい思いをしてきたと思う」と、本人の心中を代弁した。

 引退試合などのセレモニーも「現時点では未定」とした渡辺GMは「大輔は現在、体調面、精神面でも万全とは言えない状況。体調面、精神面が回復した段階で会見という形で、皆さまの前で気持ちを話すことができると思います。今は双方の回復に専念させていただきたい」と続けた。松坂の体調面のみならず、東京五輪やリーグ優勝を目指すチームの戦いを考慮し、極力迷惑がかからないことを考えて会見は8月中旬以降になりそうだ。

 「まだいつになるかは分かりませんが、しっかりと会見などで私の言葉を皆さんにお伝えできればと思います」

 世代のトップランナーとして走り続けた、太くて長い野球人生の第1章は終幕を迎えた。ただ、物語には続きがある。来季以降の指導者就任について、渡辺GMは「そのあたりの話はまだこれから。いずれ本人と会って話したい」とした。松坂が再びユニホームを着てグラウンドに立つ日を、ファンはいつまでも待っている。(鈴木 勝巳)

 ◇松坂 大輔(まつざか・だいすけ)1980年(昭55)9月13日生まれ、東京都出身の40歳。横浜では3年時に甲子園春夏連覇。98年ドラフト1位で西武入団。1年目に16勝で新人王、最多勝に輝いた。07年にレッドソックスに移籍し、同年にワールドシリーズ制覇。インディアンス、メッツを経て、15年にソフトバンクで日本球界復帰。18年に中日に移籍し、20年に西武に復帰した。日米通算成績は376試合で170勝108敗2セーブ、防御率3.53。1メートル82、92キロ。右投げ右打ち。

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