父は愛工大名電でイチロー氏と同期で現NPB審判―主将欠く東海大相模を救った深谷謙志郎

[ 2021年3月29日 23:31 ]

第93回選抜高校野球大会第9日第2試合 準々決勝   東海大相模8-0福岡大大濠 ( 2021年3月29日    甲子園 )

東海大相模・深谷謙志郎の活躍を見守った父・篤さん=右(撮影・柳内 遼平)
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 第93回選抜高校野球大会第9日は29日、兵庫県西宮市の甲子園球場で準々決勝が行われた。第2試合では、東海大相模(神奈川)が8―0で福岡大大濠を下し、3年ぶりの4強に進出。主将の大塚瑠晏(るあん・3年)が急性胃腸炎のためベンチを外れたが、「8番・遊撃」で先発した深谷謙志郎(2年)が穴を埋めた。

 甲子園で初めての打球は初回のピンチで飛んできた。エース左腕の石田隼都(3年)が1死一、二塁のピンチを招くと、福岡大大濠の4番打者が放ったゴロが背番号16をつける深谷の前に転がった。

 「俺のところに来い。全部、自分が処理するんだ」

 緊急事態による甲子園デビューにも、攻めの気持ちは忘れなかった。ボールをつかむと、素早い動きで二塁にトス。二塁手が一塁へ送って併殺を完成。自慢のグラブさばきでピンチをしのぎ、一塁側アルプス席で見守る父・篤さん(47)は「大舞台でいつものプレーができた。大したもの」と笑顔を見せた。

 父も甲子園でプレーしている。主将を務めた愛工大名電(愛知)では二塁手でイチロー氏(現マリナーズ・会長付特別補佐兼インストラクター)らとともに2度の甲子園を経験。現在はNPB審判を務め、前日は神宮で行われたヤクルト―阪神戦の三塁塁審を担当。普段は三塁ベースコーチを務める息子の姿を見るため、神奈川県にある自宅を午前3時に車で出発。仕事で母は来られなかったが、長男と次男の3人で約6時間かけて聖地にやってきた。

 30年前の同じ3月29日、愛工大名電の3年生だった篤さんは松商学園(長野)との1回戦に「1番・二塁」で出場し、右翼越えに先頭打者本塁打を放った。

 息子の初打席は2点リードで迎えた2回の先頭。父のように柵越えとはならなかったが、父と同じ右翼側に運んだ二塁打だった。

 4打席で安打は1本だったが、2度の守備機会を無難にこなして役割を果たした。普段はグラウンドでジャッジを下す父は「息子2人と見ることができて良い思い出になった。大塚くんが帰ってきたら三塁ベースコーチに戻ると思うが、与えられた仕事をしてほしい」

 前日の雨天順延が1試合だけの観戦を生んだ。(柳内 遼平)

 ◆深谷 篤(ふかや・あつし)1973年(昭48)5月27日生まれ、愛知県出身の47歳。愛工大名電では2年夏と3年春に甲子園出場。法大を経て、三菱自動車岡崎でプレー。現役引退後は99年にセ・リーグ審判員となり、日本シリーズに3度、オールスターに2度出場。袖番号は23。

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