原巨人・21年型タクト 9回打ち切りルールは「今年の見どころ」早仕掛け&四球重視ズバリ

[ 2021年3月29日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人1―1DeNA ( 2021年3月28日    東京D )

<巨・D>6回無死二塁、代走・増田大を告げる原監督(撮影・島崎忠彦)
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 巨人は28日、DeNA戦を1―1で引き分け。今季の「9回打ち切り」が初めて適用された。新型コロナウイルス感染対策による試合時間短縮のため採用された延長なしの特別ルール。開幕カードで原辰徳監督(62)が展開した今季ならではの戦術を、巨人担当キャップの神田佑記者(37)が分析した。

 開幕直前の練習日、原監督は9回打ち切りルールを「今年の見どころ」と表現した。「9イニングというのは長いようで短い。短いようで長い。軽く考えてはいけない」と受け止め、策を練っていた。

 1つ目は早仕掛け。昨季は終盤に起用して試合を動かしてきた代走の切り札・増田大を6回に投入した。5回まで無安打の完全投球だった平良に「最善策」と打った勝負手。得点にはつながらなかったが、開幕戦と前日も7回に投入した。

 早仕掛けは捕手の起用にも表れている。6回の代走・増田大は、左中間二塁打でチーム初安打した大城に送った。3人しかいない捕手の一人。原監督は9回制を「いかに主導権を握って戦うかが重要」と捉える。打率・500の強打の捕手を代えてでも、中盤の1点を取りにいった。

 開幕戦でも似たケースが見られた。9回先頭。サヨナラ弾の代打・亀井は大城に代わり途中出場していた小林に代えて起用した。従来の延長12回制なら有事に備え捕手を温存したいが、次回の守備がないため惜しみなくカードを切れる。

 もう一つは、例年以上の四球重視だ。1点の重みが増す9回制。原監督は「3連戦ともにいい四球が取れた。それは大事なこと」と振り返った。8回にウィーラーと中島が四球で出塁。2死一、二塁から梶谷の右前打で同点に持ち込んだ。元木ヘッドコーチが「打者は(球を)選ばなくてはいけない」と徹底するよう訴えていた。

 チームの四球数は開幕戦に5、2戦目は9、この日は2。計16四球が8得点につながった。開幕3連戦で3四球と、選球眼が良く出塁率の高い梶谷の加入も大きい。相手投手の注意が塁の梶谷にいくこともあり、主軸の四球数は3試合で計8。つなぐ意識を徹底した結果でもある。 (神田 佑)
 
 ≪開幕カード終了時引き分け2戦以上は12年以来≫巨人―DeNAが1対1、広島―中日が0対0で引き分け。9回打ち切りの特別ルールのため、今季18試合消化で早くも引き分けが2試合となった。開幕カード終了時に引き分け2試合以上は12年(2試合)以来。同年は前年の東日本大震災の影響による電力事情を考慮し延長12回制ながら3時間30分を過ぎて新しい延長回に入らない特別ルールを採用。結果、両リーグ合計で史上最多74試合の引き分けが記録されたが、今季はどうか。なお9回で0―0の引き分けは85年4月18日の西武―南海戦以来。セでは75年4月27日阪神―広島戦ダブルヘッダー第1試合以来46年ぶり。

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