巨人・菅野 開幕前最終登板で3回1安打、実戦4戦13イニング無失点で「完成度100%」

[ 2021年3月20日 05:30 ]

オープン戦   巨人2ー3ロッテ ( 2021年3月19日    東京D )

<巨・ロ>ロッテ打線を寄せ付けない菅野(撮影・長久保 豊)
Photo By スポニチ

 巨人・菅野智之投手(31)が19日のロッテ戦に先発し、開幕前最後の調整登板で3回を1安打無失点に抑えた。改良したカットボールを織り交ぜ、実戦4試合で計13回を無失点。完璧な仕上がりを見せ、4年連続で上原浩治に並ぶ球団最多7度目の開幕投手に向かう。白星なら並んでいる別所毅彦、斎藤雅樹を超え、球団最多の開幕戦5勝目となる。

 球速は直球とスライダーの中間で、小さく変化させることでバットの芯を外すカットボール。菅野はこの球種の曲がり幅をさらに小さくした。3回34球で計4球を投じている。

 「一番手応えがあるのがカットボール。以前と球速はそんなに変わりなく、変化量的には小さい。真っすぐの軌道から変化しているので打者は見分けづらいと思う」。荻野、藤原、井上、田村に141~143キロを1球ずつ投じ、全てファウル。直球と見せかけ、打たせて取ることもできるため「1球決着」という言葉も使った。

 手から滑らせるように投げ方を変え、より直球に近い軌道。打者の手元で小さく動くためミートを困難にした。「ピッチトンネルという考え方もある」と説明。打席から約7メートル先の架空の「円(トンネル)」を通してから球を変化させることで打者が対応しにくくなるという、野球界の「新理論」である。

 球速は変えずに変化量を変えた超高等技術。昨年、球速を宣言してからボールを投げ込む姿が球団公式動画で公開された。「140・3キロ」と宣言し、計測器を見るスタッフが「ピッタリじゃん!140・3」と驚く。球速を誤差1キロ以内で次々と言い当てる特殊能力がなせる技だ。

 新たな試み満載の最終調整だった。昨季まで主に三塁側を踏んでいたプレートの位置を一塁側に変更。右打者の内角スライダーである「インスラ」はより相手に向かう軌道になり、この日も田村に腰を引かせながら空振り三振。最速150キロの直球は「縦回転を意識する」ことで回転率を上げて威力が増した。

 実戦4試合で計13回を無失点。宮本投手チーフコーチは「芸術でした。予定通り滑走路を一番手で飛び立つ」と表現し、エースも「完成度はもう100%」と言った。多彩な球種に加わった新たなカットボールが揺るぎない自信につながった。(神田 佑)

続きを表示

この記事のフォト

2021年3月20日のニュース